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菩薩

廻り地蔵(まわりじぞう)とはどんな仏か|見分け方・ご利益

廻り地蔵  / マワリジゾウ

救済 民間信仰

厨子に納めて家々を順に廻る地蔵。堂に据え置かれない。

廻り地蔵とはどんな仏か

廻り地蔵をひとことで言えば家々をめぐる地蔵です。地蔵の像を厨子に納め、村の家を順ぐりに廻していきます。

受けた家は一晩から数日のあいだ座敷に安置し、灯明を上げて供えものをします。日が来たら次の家へ送ります。

堂に据え置かず、人の手で運ばれるところに特徴があります。廻ってくる地蔵を迎えて次へ送るという段取りが、そのまま村の付き合いの仕組みにもなっていました。

像そのものよりも、廻すという行いのほうに名が付いています。どの像を指すかは村ごとに違います。背負って歩けるよう、小ぶりな立像が納められることが多いとされます。

廻り地蔵の読み方と梵名

読みは「まわりじぞう」です。「かいり」とは読みません。

「廻り」は、順に回っていくことをいいます。像が動くのであって、拝む人が回るのではありません。

同じ地蔵信仰でも、巡礼のように人が歩いて回る形とは向きが逆です。 ここでは仏のほうが人を訪ねてきます。

廻り地蔵(まわりじぞう)

もっとも広く使われる形。

回り地蔵(まわりじぞう)

字を替えた形。

巡り地蔵(めぐりじぞう)

同じ意味の別の言い方。

廻し地蔵(まわしじぞう)

送る側から見た言い方。

クシティガルバ(Ksitigarbha)

意味は「大地の蔵」。地蔵菩薩の梵名。廻りという語は日本の村の習わしから生まれた呼び名。読みは「くしてぃがるば」。

廻り地蔵の見分け方(印相・持ち物・姿)

厨子に納まる小さな像であることが多く、堂に据え置かれません。

大きさ ─ 背負って運べる

人が背負って運ぶため、小ぶりな立像が納められることが多いとされます。

厨子ごと背負子に載せたり、風呂敷に包んだりして次の家へ渡します。

堂に据える大きな像とは、はじめから作り方の狙いが違います。

姿 ─ ふつうの地蔵菩薩

頭を丸め、袈裟をまとい、右手に錫杖、左手に宝珠を持ちます。

廻り地蔵だけの目印はありません。 厨子に納まっているかどうかで判じることになります。

像を見るより、厨子と、それを送る帳面のほうに手がかりが残ります。

行事 ─ 順番と日数

どの家を何日ずつ回るかは、村ごとに決まりがありました。順番を書いた帳面を像とともに送る例もあります。

灯明を上げ、供えものをし、家の者が手を合わせて次へ渡します。

近年は行事そのものが絶えた土地も多く、厨子だけが残っている例もあります。

廻り地蔵のご利益

家内の安全

家に迎えて祀ることによる。

救済

地蔵菩薩のはたらきそのものによる。

縁を結ぶ

家から家へ送る行いによる。

廻り地蔵に会える寺

廻り地蔵の名で国の指定を受けた彫刻は、確かめられませんでした。

文化庁の国指定文化財等データベースで探しても、この名を持つ国指定の彫刻は見つかりません。そのため寺の名も住所も書いていません。

決まった堂を持たない地蔵ですので、そもそも「どこにあるか」が定まりません。 これが記録の残らない最大の理由です。村の家々を移りながら祀られてきたため、寺の帳面にも載りませんでした。

行事が続いている土地では、自治体の民俗の調査に記録が残っている場合があります。

廻り地蔵をめぐる仏のつながり

化身・同じ経典 三尊・脇侍・眷属 対になる仏 混同・見分け

廻り地蔵の位階と、似た仏との違い

廻り地蔵は菩薩の位に置かれます。地蔵菩薩の祀り方のひとつです。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。地蔵は菩薩にあたります。

堂に据えず家々を回るという祀り方は、他の位階の仏にはほとんど見られません。 地蔵が人の暮らしにいちばん近い仏とされてきたことの表れです。

地蔵菩薩 ─ 本体と、祀り方

廻り地蔵の中身は地蔵菩薩そのものです。地蔵菩薩には別に記事があります。

姿は変わらず、祀り方によって呼び名が変わっただけです。

日限地蔵 ─ どちらも人の営みから名が付く

どちらも像の形ではなく、人の側の営みから名が付いた地蔵です。

廻りは祀り方、日限は祈り方が呼び名のもとです。姿はどちらもふつうの地蔵菩薩です。

賓頭盧 ─ どちらも人が直に触れる

どちらも人がじかに手を触れる仏です。賓頭盧は堂の外に置かれ、なでられます。

廻り地蔵は家の中まで運ばれ、座敷に安置されます。仏との距離の近さという点で共通します。

廻り地蔵についてよくある質問

廻り地蔵とは何ですか。

地蔵の像を厨子に納め、村の家々を順ぐりに廻していく習わしです。受けた家は座敷に安置し、日が来たら次の家へ送ります。

廻りの読み方は。

「まわり」です。像のほうが回るのであって、拝む人が回るのではありません。

どんな像ですか。

背負って運べるよう、小ぶりな立像が納められることが多いとされます。姿はふつうの地蔵菩薩です。

なぜ記録が少ないのですか。

決まった堂を持たないためです。村の家々を移りながら祀られてきたので、寺の帳面にも載りませんでした。

いまも行われていますか。

絶えた土地も多く、厨子だけが残っている例もあります。続いている土地では、自治体の民俗の調査に記録が残っている場合があります。

廻り地蔵と併せて覚えたい言葉・用語

厨子(ずし)

仏像を納める扉付きの箱。

灯明(とうみょう)

仏前に供える灯り。

背負子(しょいこ)

荷を背負って運ぶための道具。