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菩薩

地涌の菩薩(じゆのぼさつ)とはどんな仏か|見分け方・ご利益

地涌の菩薩  / ジユノボサツ

救済 法華・天台

大地が裂けて涌き出たと説かれる、法華経の無数の菩薩たち。

地涌の菩薩とはどんな仏か

地涌の菩薩をひとことで言えば大地から現れた菩薩の群れです。『法華経』従地涌出品に説かれます。

釈迦が「わたしの亡きあと、この経を弘める者はいるか」と問うたとき、他の世界から来ていた菩薩たちが名乗り出ました。ところが釈迦はそれを断り、そのとき大地が裂けて、数えきれないほどの菩薩が涌き出たと説かれます。

いずれもすでに久しく行を積んだ者たちで、金色に輝く姿をしていたとされます。その先頭に立つのが上行・無辺行・浄行・安立行の四菩薩です。

この場面は、釈迦がはるか昔にすでに仏となっていたことを明かす前ぶれとして置かれています。 これほどの者たちを教えたのは誰か、という問いが次の章につながります。

地涌の菩薩の読み方と梵名

読みは「じゆのぼさつ」です。「ちゆう」ではありません。

「地涌」は、大地から涌き出るという意味です。水が地面から湧くのと同じ字を当てています。

「本化」という言い方も同じ菩薩たちを指します。 釈迦がもとから教えてきた弟子という意味で、他の世界から来た菩薩と区別するために使われます。

地涌の菩薩(じゆのぼさつ)

もっとも広く使われる形。

地涌千界の菩薩(じゆせんがいのぼさつ)

数の多さを添えた形。

本化の菩薩(ほんげのぼさつ)

釈迦がもとから教えた者という意味を添えた形。

従地涌出(じゅうじゆじゅつ)

涌き出る場面を説く法華経の章の名。

地涌の菩薩の見分け方(印相・持ち物・姿)

群れとして表されるのが決まりです。一体ずつを彫り分けた像はほとんどありません。

姿 ─ 金色に輝く菩薩

経では、体が金色に輝き、三十二相を備えていたと説かれます。すでに久しく行を積んだ者ばかりとされます。

菩薩の姿ですので、宝冠と装身具を着けます。

ただし一人ひとりの顔や持ち物を定める決まりは、経にも図像の書にも見あたりません。

数 ─ 数えきれない

経は、その数をきわめて大きな数で表します。一人ひとりが従者を連れており、全体の数は数えきれないとされます。

具体的な人数を確かめられる形では書かれていません。 「多い」ということ自体が要点です。

名が挙がるのは、先頭に立つ四菩薩だけです。

場面 ─ 大地が裂ける

絵に描かれるときは、地面が割れて菩薩たちが立ちのぼる場面が選ばれます。

法華経の各章を絵にした図のなかでも、目を引く場面のひとつです。

一体の像ではなく、場面として表されるという点が、この菩薩たちの特徴です。

地涌の菩薩のご利益

教えを伝える

末の世に法華経を弘める役を託されたことによる。

志を貫く

久しく行を積んだ者たちとされることによる。

救済

苦しむ世に現れて人を導くとされることによる。

地涌の菩薩に会える寺

地涌の菩薩を祀る堂は、日本では確かめられませんでした。

文化庁の国指定文化財等データベースでも、「地涌」の名を持つ国指定の彫刻は確かめられませんでした。群れとして語られる菩薩であり、像に彫る対象になりにくいためと考えられます。

会えるとすれば、法華経の各章を絵にした掛軸や壁画のなかです。 大地が裂ける場面として描かれます。

先頭に立つ四菩薩については、日蓮宗の大曼荼羅に名が書かれます。

地涌の菩薩をめぐる仏のつながり

化身・同じ経典 三尊・脇侍・眷属 対になる仏 混同・見分け

地涌の菩薩の位階と、似た仏との違い

地涌の菩薩は菩薩の位に置かれます。名を持つのは先頭の四人だけです。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。地涌の菩薩は菩薩にあたります。

ただし、一体ずつが拝まれる対象ではありません。群れとしてのみ語られ、群れとしてのみ意味を持つ、めずらしい菩薩です。

四菩薩 ─ 群れと、その先頭

地涌の菩薩という群れの先頭に立つ四人が、上行・無辺行・浄行・安立行の四菩薩です。

別の菩薩ではなく、大小の関係にあります。名が伝わるのは四人だけで、残りは名を持ちません。

八大菩薩 ─ どちらも組で語られる

どちらも複数の菩薩をまとめた言い方です。

八大菩薩は八人と決まっており、一人ずつに名と姿があります。 地涌の菩薩は数が定まらず、姿も定まりません。像の作られ方がまったく違います。

常不軽菩薩 ─ 同じ法華経の菩薩

どちらも法華経に説かれ、どちらも像がほとんど作られません。

常不軽菩薩は一人で、行いがはっきりしています。 地涌の菩薩は群れで、行いは「経を弘めること」とだけ示されます。

地涌の菩薩についてよくある質問

地涌の菩薩とは何ですか。

『法華経』従地涌出品で、大地が裂けて涌き出たと説かれる菩薩の群れです。釈迦の亡きあとに経を弘める役を託されたとされます。

地涌の読み方は。

「じゆ」です。大地から涌き出るという意味の言葉です。

何人いるのですか。

経はきわめて大きな数で表しており、数えきれないとされます。確かな人数として書かれてはいません。

四菩薩とどう違いますか。

別の菩薩ではありません。地涌の菩薩の先頭に立つ四人が四菩薩です。名が伝わるのはその四人だけです。

地涌の菩薩の像はどこで見られますか。

像はほとんど作られていません。文化庁の国指定文化財等データベースでも、この名を持つ国指定の彫刻は確かめられませんでした。

地涌の菩薩と併せて覚えたい言葉・用語

従地涌出品(じゅうじゆじゅつほん)

大地から菩薩が涌き出る場面を説く法華経の章。

本化(ほんげ)

釈迦がもとから教えてきた者たちという意味。

三十二相(さんじゅうにそう)

仏の体に備わるとされる三十二のすぐれた特徴。