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菩薩

普賢延命菩薩(ふげんえんめいぼさつ)とはどんな仏か|見分け方とご利益

普賢延命菩薩  / フゲンエンメイボサツ

救済福徳 密教

寿命を延ばす働きに絞った、密教の普賢菩薩。

普賢延命菩薩とはどんな仏か

普賢延命菩薩をひとことで言えば寿命を延ばす普賢菩薩です。普賢菩薩の持つ徳のうち、命を延ばす働きだけを取り出して独立させた尊格です。

密教には延命法という修法があります。病や災いで命が縮むのを防ぎ、寿命を延ばすための修法で、その本尊がこの菩薩です。

普賢菩薩は法華経で「この経を持つ者を守る」と誓いました。その守りの働きを、寿命という一点に絞りこんだのが普賢延命菩薩です。

姿の決め手は象の頭の数にあります。普賢菩薩が一頭の白象に乗るのに対し、こちらは三頭あるいは四頭の象が並んで座を支えます。

平安時代の後期から鎌倉時代にかけて盛んに修され、貴族の延命祈願に用いられました。絵として描かれたものが多く、京都と広島には国宝の普賢延命像が伝わります。彫刻も奈良・佐賀・大分などに残ります。

普賢延命菩薩の読み方と梵名

読みは「ふげんえんめいぼさつ」です。文化財の名称では「普賢延命」と略されます。

「普賢」は梵名サマンタバドラを意味で訳したもので、「あまねく賢いもの」となります。

「延命」は寿命を延ばすことです。同じ「延命」の語を持つ尊格に延命地蔵がありますが、こちらは地蔵菩薩の一形態で別の仏です。

普賢延命菩薩(ふげんえんめいぼさつ)

もっとも広く使われる形。

普賢延命(ふげんえんめい)

略した形。文化財の名称に使われる。

延命菩薩(えんめいぼさつ)

略した呼び方。

金剛薩埵延命(こんごうさったえんめい)

金剛薩埵と同体とみる立場での呼び方。

サマンタバドラ(Samantabhadra)

意味は「あまねく賢いもの」。普賢菩薩の原語。延命の徳を強調した形に固有の梵名は確かめられなかった。読みは「さまんたばどら」。

普賢延命菩薩の見分け方(印相・持ち物・姿)

普賢延命菩薩の見分けは、座を支える象の頭の数にあります。ここが普賢菩薩との分かれ目です。

象 ─ 三頭または四頭

座の下に三頭あるいは四頭の白象が並び、蓮華座を支えます。

普賢菩薩は六本の牙を持つ白象一頭に乗ります。頭の数が違います。

四頭の場合は四方に向かって並び、三頭の場合は正面と左右に配されます。象が一頭なら普賢菩薩、複数なら普賢延命菩薩という見分け方が成り立ちます。

腕 ─ 二本の形と二十本の形

腕の数には二通りあります。二臂と二十臂です。

二臂の場合は、右手に五鈷杵、左手に五鈷鈴を持ちます。金剛薩埵とよく似た形になります。

二十臂の場合は、二十本の手にそれぞれ金剛杵・輪・鉤・索などを握ります。腕が二十本ある菩薩はほかにほとんどなく、見ればすぐわかります。

姿 ─ 穏やかな菩薩の顔

顔は一つ、穏やかな表情です。腕が二十本あっても忿怒の相はとりません。

宝冠をかぶり、瓔珞・腕釧・臂釧を着けます。菩薩の決まりに従った装いです。

体の色は白か肉色とされます。象も白く塗られます。

金剛薩埵との重なり

二臂の普賢延命菩薩は、五鈷杵と五鈷鈴を持つという点で金剛薩埵と同じ形になります。

もともと普賢菩薩と金剛薩埵を同体とみる説があり、そこに延命の徳が加わったのがこの尊格だという理解も行われてきました。

見分けたいときは象を見ます。象に乗っていれば普賢延命菩薩、蓮華座に直に座っていれば金剛薩埵です。

普賢延命菩薩のご利益

延命

この尊格の本領。延命法の本尊とされる。

病気平癒

命が縮むのを防ぐ働きによる。

安産

母子の命を守るとして祈られた。

厄除け

災いから守る普賢菩薩の誓いによる。

普賢延命菩薩に会える寺

普賢延命菩薩の彫刻は、奈良・佐賀・大分などに残ります。ここに挙げたのは、所有者が寺であることを文化庁の国指定文化財等データベースで確かめられたものだけです。

絵として伝わるもののほうが数多く、京都と広島には国宝の普賢延命像があります。千葉・愛知・和歌山・高知の寺にも重要文化財の絵が伝わります。

延命法という修法の本尊であったため、修法のたびに掛けられる絵のほうが、堂に据える像より必要とされたのだと考えられます。

法隆寺 金堂(ほうりゅうじ こんどう)

重要文化財

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法隆寺 金堂の住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1の1

像:木造普賢延命坐像(所在金堂)一躯/重要文化財

この像に結び付く願い:延命

文化庁の国指定文化財等データベースで、所有者が法隆寺と記されている重要文化財の坐像です。

金堂に安置されています。同じ堂には国宝の釈迦三尊像、毘沙門天立像、吉祥天立像があります。

飛鳥時代の像が並ぶ金堂に、平安以降の密教の尊格が加わっているという点が、この堂の重なりの厚さを示しています。

所有者は文化庁の国指定文化財等データベースで確認した。

竜田寺(りゅうでんじ)

重要文化財

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竜田寺の住所:佐賀県(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)

像:木造普賢延命菩薩騎象像〈康俊作〉(本堂安置)一躯/重要文化財

この像に結び付く願い:病気平癒

康俊の作とわかっている騎象像です。康俊は鎌倉時代の仏師で、運慶の流れをくみます。

作者の名が像から確かめられる例は多くありません。文化庁の国指定文化財等データベースでも、名称に作者名が記されています。

所有者は竜田寺と記されています。

所有者は文化庁の国指定文化財等データベースで確認した。

常覚寺(じょうかくじ)

重要文化財

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常覚寺の住所:奈良県(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)

像:木造普賢延命坐像 一躯/重要文化財

この像に結び付く願い:厄除け

文化庁の国指定文化財等データベースで、所有者が常覚寺と記されています。

普賢延命菩薩の彫刻は数が限られており、奈良県内でも数えるほどしかありません。

拝観の可否は寺に確かめる必要があります。

所有者は文化庁の国指定文化財等データベースで確認した。

普賢延命菩薩をめぐる仏のつながり

普賢延命菩薩の位階と、似た仏との違い

普賢延命菩薩は菩薩の位に置かれます。普賢菩薩の徳を絞りこんだ姿です。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。普賢延命菩薩は菩薩です。

菩薩のなかでは、修法の本尊として生まれた尊格にあたります。もとからある菩薩の一つの徳を取り出し、独立した名と姿を与えたものです。

同じ成り立ちの尊格に、地蔵菩薩から生まれた延命地蔵や勝軍地蔵があります。

普賢菩薩 ─ 象の頭の数

もとになった菩薩です。普賢菩薩は六本の牙を持つ白象一頭に乗ります。

普賢延命菩薩は三頭あるいは四頭の象が座を支えます。頭の数が決め手です。

腕の数も違い、普賢菩薩は二本、普賢延命菩薩は二本または二十本です。

金剛薩埵 ─ 同じ持ち物を持つ

二臂の普賢延命菩薩は、右手に五鈷杵、左手に五鈷鈴を持ちます。金剛薩埵とまったく同じ形です。

見分けは象です。象に乗っていれば普賢延命菩薩、蓮華座に直に座っていれば金剛薩埵です。

もともと普賢菩薩と金剛薩埵を同体とみる説があり、この二尊は近い関係にあります。

勝軍地蔵 ─ 徳を絞った尊格どうし

どちらも、もとの菩薩から特定の徳を取り出して独立させた尊格です。

普賢延命菩薩は延命、勝軍地蔵は戦の勝利を受け持ちます。

姿はまったく違い、勝軍地蔵は甲冑を着けて馬に乗ります。同じ成り立ちでも、絞りこむ徳が違えば姿もこれだけ変わります。

普賢延命菩薩についてよくある質問

普賢延命菩薩とはどんな仏ですか。

普賢菩薩の徳のうち、寿命を延ばす働きだけを取り出して独立させた尊格です。密教の延命法という修法の本尊とされます。

普賢菩薩とどう見分けますか。

象の頭の数を見ます。普賢菩薩は一頭の白象に乗り、普賢延命菩薩は三頭あるいは四頭の象が座を支えます。

腕は何本ありますか。

二本の形と二十本の形があります。二十臂の場合、それぞれの手に金剛杵や輪などを握ります。

普賢延命菩薩のご利益は何ですか。

延命が本領です。病や災いで命が縮むのを防ぐとされ、安産や厄除けにも祈られます。

普賢延命菩薩の像はどこで見られますか。

奈良の法隆寺金堂、佐賀の竜田寺、奈良の常覚寺などに重要文化財の像があります。絵としては京都と広島に国宝が伝わります。

普賢延命菩薩と併せて覚えたい言葉・用語

延命法(えんめいほう)

寿命を延ばすための密教の修法。普賢延命菩薩を本尊とする。

二十臂(にじゅっぴ)

腕が二十本ある形。普賢延命菩薩の一形式。

康俊(こうしゅん)

鎌倉時代の仏師。佐賀の竜田寺の騎象像を造った。

騎象(きぞう)

象に乗る姿。普賢菩薩と普賢延命菩薩の像に用いられる。