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明王

黄不動(きふどう)|金色不動明王とはどんな仏か|見分け方・ご利益

黄不動明王  / キフドウ

守護忿怒 密教

全身を黄金色に描いた不動明王。彫像ではなく絵として伝わる。

黄不動とはどんな仏か

黄不動をひとことで言えば絵として伝わる不動明王です。全身を黄金色に塗って描かれます。園城寺、いまの三井寺に伝わる一幅がよく知られます。

天台の僧である円珍が、行のさなかにこの姿を目の当たりにしたとされ、それを写させたものと伝えられます。感得像、すなわち見たままを写したという伝えを持つ絵です。

姿は独特です。両目を大きく見開き、上の唇で下の唇を噛み、二本の牙を上に向けて出します。上半身に衣をまとわず、筋肉の盛り上がった体つきで、何も無い虚空を踏んで立ちます。

青不動、赤不動とあわせて三不動と呼ばれます。 いずれも彫像ではなく絵であることが、この三つに共通する点です。

黄不動の読み方と梵名

読みは「きふどう」です。「おうふどう」とは読みません。

「黄」は像の体の色を指します。色の名で不動明王を呼び分けるやり方は、青不動・赤不動にも共通します。

江戸の五色不動にも「目黄」がありますが、こちらは堂につけられた呼び名で、成り立ちがまったく違います。混同しないでください。

黄不動(きふどう)

もっとも広く使われる形。

黄不動明王(きふどうみょうおう)

尊格の名を添えた形。

金色不動明王(こんじきふどうみょうおう)

色を意味で表した形。

円珍感得像(えんちんかんとくぞう)

由来を添えた呼び方。

黄不動の見分け方(印相・持ち物・姿)

上半身に衣をまとわず、虚空を踏んで立つという姿が、ほかの不動明王と決定的に違います。

色 ─ 全身が黄金色

体の色を黄金色に塗って描きます。不動明王は本来、青黒い体色で表されることが多い仏です。

黄金色という色そのものが、この絵をほかから分ける第一の目印になります。

彫像では体色を表しにくいため、絵ならではの特徴といえます。

顔 ─ 唇を噛み牙を出す

両目を大きく見開きます。ふつうの不動明王は片目を細める形が多く、両目を見開く形は古い作例に見られる型です。

上の唇で下の唇を噛み、二本の牙を上に向けて出します。

牙の向きは不動明王の見分けの手がかりで、上下に一本ずつ出す形との違いがはっきり出ます。

体 ─ 裸形で立つ

上半身に衣をまとわず、筋肉の盛り上がった体つきで描かれます。

足は岩の座を踏まず、何も無い虚空を踏んで立ちます。 岩座に座るか立つのがふつうの不動明王ですので、これも大きな違いです。

力の張りつめた身体そのものを見せる描き方になっています。

三不動 ─ 絵で伝わる不動明王

黄不動は、青不動、赤不動とあわせて三不動と呼ばれます。

三つとも彫像ではなく絵です。不動明王の信仰が、彫刻だけでなく絵の形でも深く伝えられたことを示しています。

絵は彫像より傷みやすく、光にも弱いため、公開はごく限られます。 常に見られるものではありません。

黄不動のご利益

災いを断つ

不動明王が剣を持つことによる。

行を助ける

行のさなかに現れたという伝えによる。

身を守る

忿怒の相で悪を退けるとされることによる。

黄不動に会える寺

黄不動の名を持つ国指定の彫刻は、確かめられませんでした。

黄不動は彫像ではなく絵です。園城寺、いまの三井寺に伝わる一幅がよく知られますが、所有と公開の詳しい事情は公式の情報を確かめられなかったため、ここには書きません。

絹や紙に描いた絵は、彫像よりはるかに傷みやすく、光にも弱いものです。公開はごく限られた期間になります。出向く前に、公式の案内で公開の予定を確かめてください。

黄不動をめぐる仏のつながり

化身・同じ経典 三尊・脇侍・眷属 対になる仏 混同・見分け

黄不動の位階と、似た仏との違い

黄不動は不動明王ですので、明王の位に置かれます。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。明王は如来の命を受け、恐ろしい姿で人を導く役を負います。

不動明王はその筆頭にあたります。黄不動という呼び名は位階ではなく、色によって作例を呼び分けたものです。

不動明王 ─ 同じ仏の一つの姿

黄不動は不動明王の一つの表し方です。別の仏ではありません。

見分けは体の色と足元です。 黄金色で虚空を踏んで立てば黄不動、青黒い体色で岩座にあればふつうの不動明王です。

五色不動 ─ 色の名が重なる

どちらも色を名に持ちますが、由来が別です。五色不動は江戸の堂につけられた呼び名です。

黄不動は絵一幅を指し、五色不動は堂のまとまりを指します。 指しているものの単位が違います。

倶利伽羅 ─ どちらも不動明王の別の表し方

倶利伽羅は、不動明王を剣に巻きつく竜の姿で表したものです。

黄不動は人の姿、倶利伽羅は竜と剣の姿です。同じ仏を、まったく違う形で表した例として並びます。

黄不動についてよくある質問

黄不動とは何ですか。

全身を黄金色に描いた不動明王です。彫像ではなく絵として伝わり、園城寺、いまの三井寺に伝わる一幅がよく知られます。

ふつうの不動明王と何が違いますか。

体が黄金色で、上半身に衣をまとわず、岩座ではなく虚空を踏んで立ちます。両目を大きく見開く点も違います。

感得像とは何ですか。

行のさなかに目の当たりにした姿を写させたと伝えられる像や絵のことです。黄不動は円珍が見た姿とされます。

三不動とは何ですか。

黄不動・青不動・赤不動の三つを指します。三つとも彫像ではなく絵です。

黄不動はいつでも見られますか。

見られません。絵は彫像より傷みやすく光にも弱いため、公開はごく限られます。公式の案内で予定を確かめてください。

黄不動と併せて覚えたい言葉・用語

感得(かんとく)

行のさなかに仏の姿を目の当たりにすること。

裸形(らぎょう)

衣をまとわない姿。

絹本(けんぽん)

絹に描いた絵。紙に描いたものは紙本という。

三不動(さんふどう)

黄不動・青不動・赤不動の三つの絵。