本文へ移動

如来

燃燈仏(ねんとうぶつ)|定光仏とはどんな仏か|見分け方・ご利益

燃燈仏  / ネントウブツ

救済 奈良仏教

前世の釈迦に、いつか必ず仏になると告げたとされる過去の仏。

燃燈仏とはどんな仏か

燃燈仏をひとことで言えば釈迦の未来を予告した仏です。定光仏・錠光仏とも書きます。

よく語られるのは、ぬかるみの場面です。まだ修行者だった釈迦が、この仏を泥に踏み入らせまいとして、自分の髪を地に敷いて渡らせたと伝えられます。

これを見た燃燈仏は、この者は未来に釈迦牟尼という名の仏になるだろうと告げました。あらかじめ未来を告げるこの言葉を授記といいます。

つまりこの仏は、釈迦の物語の出発点に置かれています。仏になったのは一代の修行の結果ではなく、はるか昔からの積み重ねだという筋立てを、この場面が支えています。

燃燈仏の読み方と梵名

読みは「ねんとうぶつ」です。

名は梵名ディーパンカラを意味で訳したもので、燈をともす者を指します。生まれたとき、まわりが燈をともしたように明るかったからだとする説明が伝わります。

「定光」「錠光」と書く場合も同じ仏を指します。同じ仏が三通りの漢字で書かれるため、別の仏と思われがちです。

燃燈仏(ねんとうぶつ)

もっとも広く使われる形。

定光仏(じょうこうぶつ)

意味で訳した形。

錠光仏(じょうこうぶつ)

同じ読みで字を変えた形。

然燈仏(ねんとうぶつ)

火偏を省いた古い表記。

ディーパンカラ(Dipankara)

意味は「燈をともす者」。「ディーパ」が燈、「カラ」が作る者を指す。読みは「でぃーぱんから」。

燃燈仏の見分け方(印相・持ち物・姿)

像として作られることがほとんどありません。 名と物語のほうで覚える仏です。

姿 ─ 如来の決まりどおり

像や絵に表される場合は、如来の決まりに従います。螺髪をいただき、衣一枚をまとい、持ち物は持ちません。

この仏だけの目印になる持ち物や手の形はありません。 名の札が無ければ、ほかの如来と区別できません。

体の色や方角の割り当ても定まっていません。

場面 ─ 髪を敷く

絵に描かれるときは、単独の姿より授記の場面が選ばれます。

泥の上に若者が長い髪を広げて伏し、その上を仏が歩く構図です。若者は前世の釈迦で、名を儒童菩薩・善慧菩薩などと伝えます。

場面そのものが、この仏を示す目印になっています。

役どころ ─ 授記を与える

授記とは、修行者にいつどこで仏となるかをあらかじめ告げることです。

燃燈仏はこの授記を与える側に立ちます。釈迦の物語の始まりを担う仏という位置づけです。

『法華経』では釈迦が弟子たちに授記を与える場面が並びますが、その形の先例にあたります。

なぜ像が少ないのか

日本でこの仏だけを本尊とする堂は、ほとんど育ちませんでした。

理由のひとつは、役どころが物語のなかに閉じていることです。願いを聞き届ける仏ではなく、釈迦の来歴を語るために置かれた仏だからです。

そのため、経典と絵解きのなかに名が残り、彫像としてはほとんど残っていません。

燃燈仏のご利益

志が実る

未来に仏となることを告げた話による。

道を示される

授記を与える役どころによる。

積み重ねが報いる

はるか昔からの修行が実ったと説かれることによる。

燃燈仏に会える寺

燃燈仏だけを安置する堂は、日本では確かめられませんでした。

文化庁の国指定文化財等データベースでも、燃燈仏の名を持つ国指定の彫刻は確かめられませんでした。定光仏・錠光仏の表記でも確かめられていません。

名は経典と、釈迦の前世を絵解きした図のなかに残っています。 寺で会うとすれば、堂の壁や掛軸に描かれた授記の場面ということになります。

燃燈仏をめぐる仏のつながり

燃燈仏の位階と、似た仏との違い

燃燈仏は如来の位に置かれます。釈迦より前の世に現れた仏とされます。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。燃燈仏は最上位の如来にあたります。

ただし過去七仏には数えられません。七仏よりさらに古い時に現れた仏として、別に語られてきました。

過去七仏 ─ どちらも釈迦より前の仏

どちらも過去の仏ですが、枠が違います。過去七仏は毘婆尸仏から釈迦までの七体をまとめた数え方です。

燃燈仏はその七体に含まれません。 別の物語の系統から来た仏です。

釈迦如来 ─ 授記を受けた側

燃燈仏から授記を受けたのが、前世の釈迦です。

つまり二体は与える側と受ける側の関係にあります。釈迦の物語をさかのぼると、必ずこの仏に行き当たります。

弥勒菩薩 ─ 授記を受けた仏の後継

弥勒菩薩も、釈迦から未来に仏となる授記を受けたとされます。

授記という仕掛けが、燃燈仏から釈迦へ、釈迦から弥勒へと受け渡されていく形になっています。

燃燈仏についてよくある質問

燃燈仏とはどんな仏ですか。

はるか昔に現れ、修行者だったころの釈迦に、未来に仏となることを告げたとされる仏です。

燃燈仏の読み方は。

「ねんとうぶつ」です。定光仏・錠光仏と書いて「じょうこうぶつ」と読む場合も同じ仏を指します。

髪を敷いた話とは何ですか。

修行者だった釈迦が、燃燈仏を泥に踏み入らせまいとして自分の髪を地に敷き、その上を渡らせたという話です。

過去七仏に含まれますか。

含まれません。過去七仏よりさらに古い時に現れた仏として、別に語られます。

燃燈仏の像はどこで見られますか。

文化庁の国指定文化財等データベースでも、この名を持つ国指定の彫刻は確かめられませんでした。

燃燈仏と併せて覚えたい言葉・用語

授記(じゅき)

いつどこで仏となるかをあらかじめ告げること。

儒童菩薩(じゅどうぼさつ)

授記を受けたころの釈迦の名と伝えられるもの。

前世(ぜんせ)

いまより前の生。釈迦の前世を語る物語が数多くある。