説法第一と呼ばれた弟子。教えを語って人を導いた。
富楼那とはどんな仏か
富楼那をひとことで言えば語りの巧みな弟子です。説法第一と称されます。
荒々しい人々の住む土地へ布教に出ようとしたとき、釈迦に危険を問われました。「罵られても打たれずにすんだと思い、打たれても殺されずにすんだと思います」と答えたと伝えられます。命を落とすことすら、教えを説く妨げにしなかったという話です。
像は十大弟子の一員として作られます。口をわずかに開いた像がこの人と伝えられることがあり、説法第一という役がそのまま顔に出ています。
単独で祀られる例は確かめられませんでした。
単独像だけでなく、十人の群像のなかで誰が富楼那かを確かめる視点が必要です。京都国立博物館の重要文化財「木造十大弟子立像」は十躯一組で、富楼那を含む十大弟子の名を示し、鎌倉時代・十三世紀の木造彩色像としています。
富楼那の読み方と梵名
読みは「ふるな」です。
梵名プールナを音で写したものです。意味は「満ちたもの」で、これを訳した「満慈子」という呼び方もあります。
長い形の「富楼那弥多羅尼子」は、父の名と母の名を続けて写したものとされます。
富楼那(ふるな)
もっとも広く使われる形。
富楼那弥多羅尼子(ふるなみたらにし)
音を写した長い形。
満慈子(まんじし)
意味で訳した形。
プールナ(Purna)
意味は「満ちたもの」。読みは「ぷーるな」。
富楼那の見分け方(印相・持ち物・姿)
口を開いた僧の像があれば、富楼那と伝えられていることが多くあります。
口 ─ わずかに開く
説法第一にちなみ、口を開いて語りかける表情に彫られる作例があります。
興福寺の乾漆十大弟子立像のうち、口を開いた一躯がこの人と伝えられてきました。
ただし、これは決まりではなく伝えです。 口を閉じた作例も多くあります。
姿 ─ 装身具の無い僧
頭を丸め、袈裟をまとって立ちます。冠も瓔珞も着けません。
手は合掌するか経巻を持ちます。武器も法具も持ちません。
年齢は中年から老年に彫られることが多く見られます。
並び ─ 十大弟子の一員
十躯そろった像のなかに置かれます。単独で本尊とされる例は確かめられませんでした。
十大弟子の並び順は経典によって違い、富楼那は四番目から五番目あたりに来るのがふつうです。
京都の大報恩寺には十躯そろった重要文化財の像が伝わります。
富楼那のご利益
言葉が通じる
説法第一と称されたことによる。
恐れを退ける
危険な土地へ布教に出たという伝えによる。
学びの成就
教えを人に伝えたことによる。
富楼那に会える寺
富楼那だけを祀る堂は、日本では確かめられませんでした。 十大弟子像の一員として会うことになります。
文化庁の国指定文化財等データベースにも、この名を持つ国指定の彫刻はありません。
奈良の興福寺、京都の大報恩寺などで、十人並んだ像のなかから探すことになります。
興福寺(こうふくじ)
国宝
天平時代の乾漆像です。口を開いた一躯が富楼那と伝えられてきました。
文化庁の国指定文化財等データベースでは、名称は「乾漆十大弟子立像」でまとめられ、個々の名は記されていません。
所在地は寺の公式サイトで確かめた。
富楼那をめぐる仏のつながり
富楼那の位階と、似た仏との違い
富楼那は羅漢と高僧の組に置かれます。十大弟子の一人です。
仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。富楼那はそのどれにも属さず、悟りを得た弟子すなわち羅漢にあたります。
十大弟子のなかでは、教えを外へ広める役を受け持ちます。
阿難 ─ どちらも言葉に関わる
阿難は聞いて覚える役、富楼那は語って伝える役です。
見分けは顔です。阿難は若く彫られ、富楼那は中年から老年に彫られることが多くあります。
目連 ─ どちらも外へ出て働いた
どちらも釈迦のもとを離れて働きました。目連は神通力で、富楼那は言葉でです。
姿での見分けはできません。 名札で判じます。
十大弟子 ─ 全体と一人
富楼那は十大弟子の一人です。十躯そろった像として指定されることがほとんどで、単独で指定された例は確かめられませんでした。
富楼那についてよくある質問
富楼那とはどんな人ですか。
釈迦の弟子のうち説法第一と称された人物です。教えを言葉にして伝えるわざにすぐれ、危険な土地へも布教に出たと伝えられます。
富楼那の読み方は。
「ふるな」です。梵名プールナを音で写したもので、意味は「満ちたもの」です。
富楼那はどう見分けますか。
口をわずかに開いた僧の像が富楼那と伝えられることがあります。ただし決まりではなく伝えで、口を閉じた作例もあります。
富楼那の像はどこで見られますか。
単独で祀る堂は確かめられませんでした。奈良の興福寺の国宝の乾漆十大弟子立像など、十大弟子像の一員として会えます。
富楼那と併せて覚えたい言葉・用語
説法第一(せっぽうだいいち)
十大弟子で富楼那に与えられた称。
布教(ふきょう)
教えを他の土地へ伝え広めること。
乾漆(かんしつ)
麻布を漆で貼り重ねて像を造る技法。