智慧第一と呼ばれた弟子。般若心経の相手役でもある。
舎利弗とはどんな仏か
舎利弗の読み方と梵名
読みは「しゃりほつ」です。「しゃりぶつ」と読む場合もあります。
梵名シャーリプトラの前半を音で写し、後半を「弗」と写したものです。「プトラ」は子を意味します。
『般若心経』の「舎利子」は、同じ名の後半を意味で訳した形です。同じ人物が、経典によって違う名で出てきます。
舎利弗(しゃりほつ)
もっとも広く使われる形。
舎利子(しゃりし)
『般若心経』で使われる形。
鶖鷺子(しゅうろし)
意味で訳した形。母の名にちなむ。
シャーリプトラ(Sariputra)
意味は「シャーリーの子」。「シャーリー」は母の名で鳥の名でもある。読みは「しゃーりぷとら」。
舎利弗の見分け方(印相・持ち物・姿)
僧の姿で、目連と左右一対。並びの位置で判じるのが確実です。
姿 ─ 整った顔の僧
頭を丸め、袈裟をまとって立ちます。装身具は着けません。
顔は若く整えて彫られることが多く、老いた摩訶迦葉と対比されます。ただし高齢で世を去ったとされるため、老僧として彫る作例もあります。
手は合掌するか、経巻を持ちます。
位置 ─ 釈迦の向かって右
釈迦如来の両脇に舎利弗と目連を配する場合、向かって右が舎利弗とされるのが一般的です。
ただし寺によって逆になることもあり、位置だけで断じるのは危うい面があります。
台座や光背に名が記されていれば、それが確実な手がかりです。
見分けの手がかりが少ない
舎利弗だけの目印になる持ち物はありません。錫杖も宝珠も持ちません。
十大弟子像のなかでは、名札や堂の説明で判じることになります。
「持ち物が無いこと」自体が、弟子の像であることの目印です。菩薩なら必ず何かを持つか、装身具を着けています。
舎利弗のご利益
学びの成就
智慧第一と称されたことによる。
判断の確かさ
教えを一言で見抜いたという伝えによる。
迷いを断つ
空の教えを受ける相手役であることによる。
舎利弗に会える寺
舎利弗だけを祀る堂は、日本では確かめられませんでした。 十大弟子像の一員として会うことになります。
文化庁の国指定文化財等データベースでも、「舎利弗」の名を持つ国指定の彫刻は見つかりません。指定名称はすべて「十大弟子立像」のようにまとめた形です。
奈良の興福寺、京都の大報恩寺などで、十人並んだ像のなかから探すことになります。
興福寺(こうふくじ)
国宝
天平時代の乾漆像です。残る六躯のうち一躯が舎利弗と伝えられてきましたが、どの像が誰かの伝えには揺れがあります。
文化庁の国指定文化財等データベースでは、名称は「乾漆十大弟子立像」で、個々の名は記されていません。
所在地は寺の公式サイトで確かめた。
舎利弗をめぐる仏のつながり
舎利弗の位階と、似た仏との違い
舎利弗は羅漢と高僧の組に置かれます。十大弟子の筆頭です。
仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。舎利弗はそのどれにも属さず、悟りを得た弟子すなわち羅漢にあたります。
十大弟子のなかでは、智慧第一として最初に挙げられるのがふつうです。
目連 ─ 左右一対で置かれる
若いころからの友で、そろって釈迦の弟子になりました。像も左右一対で置かれます。
二人を姿だけで見分ける決まった目印はありません。 台座の名や堂の説明で判じます。
文殊菩薩 ─ どちらも智慧を受け持つ
どちらも智慧と結びつきます。文殊菩薩は菩薩、舎利弗は弟子です。
見分けは容易です。文殊菩薩は宝冠をかぶり、剣と経巻を持ち、獅子に乗ります。舎利弗は頭を丸めた僧で、獅子にも乗りません。
阿難 ─ 同じ十大弟子
どちらも僧の姿で若く彫られることがあります。
阿難は釈迦如来と摩訶迦葉との三体一組で置かれるのが定型で、舎利弗は目連と対になります。三体で並ぶか、左右一対かが見分けの手がかりです。
舎利弗についてよくある質問
舎利弗とはどんな人ですか。
釈迦の弟子のうち智慧第一と称された人物です。もとは別の師に学んでいましたが、釈迦の教えを一言聞いて弟子になったと伝えられます。
舎利弗の読み方は。
「しゃりほつ」です。『般若心経』では「舎利子(しゃりし)」と呼ばれます。同じ人物です。
舎利弗はどう見分けますか。
頭を丸め袈裟をまとった僧の姿で、装身具も持ち物もほとんどありません。目連と左右一対で置かれることが多く、位置と名札で判じます。
舎利弗の像はどこで見られますか。
単独で祀る堂は確かめられませんでした。奈良の興福寺の国宝の乾漆十大弟子立像など、十大弟子像の一員として会うことになります。
舎利弗と併せて覚えたい言葉・用語
智慧第一(ちえだいいち)
十大弟子で舎利弗に与えられた称。
般若心経(はんにゃしんぎょう)
短い経典。舎利子への呼びかけで進む。
阿羅漢(あらかん)
悟りを得た弟子。羅漢の正式な形。