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羅漢と高僧

阿難(あなん)|阿難陀とはどんな仏か|見分け方・ご利益・会える寺

阿難陀  / アナン

救済 奈良仏教

多聞第一と呼ばれた弟子。経典の言葉を記憶して伝えた。

阿難とはどんな仏か

阿難をひとことで言えば経典を伝えた弟子です。釈迦の従弟にあたり、二十五年のあいだそばに仕えました。

多聞第一と称されます。釈迦の説いた言葉をもっとも多く聞き、もっともよく覚えていたという意味です。

釈迦が世を去ったあと、弟子たちが集まって教えをまとめました。そのとき、この人が聞いた言葉を口にし、それが経典になりました。経典の冒頭に置かれる「如是我聞(かくのごとくわれ聞けり)」の「われ」は、阿難を指します。

像は十大弟子のなかでもっとも若く彫られます。釈迦如来の脇に、老いた摩訶迦葉と並べて置く形が中国から伝わり、日本の禅宗の寺にも受け継がれました。

阿難の読み方と梵名

読みは「あなん」です。

梵名アーナンダを音で写して「阿難陀」とし、それを縮めて「阿難」となりました。意味は「喜び」で、これを訳した「慶喜」という呼び方もあります。

多聞第一の「多聞」は、多くを聞いたという意味です。四天王の多聞天とは字が同じですが、まったく別のものを指します。

阿難(あなん)

もっとも広く使われる形。

阿難陀(あなんだ)

音を写した長い形。

慶喜(きょうき)

意味で訳した形。

アーナンダ(Ananda)

意味は「喜び」。生まれた日が吉事と重なったことによるとされる。読みは「あーなんだ」。

阿難の見分け方(印相・持ち物・姿)

釈迦如来の脇に立つ若い僧。反対側に老僧がいれば、それは摩訶迦葉です。

顔 ─ 若く彫られる

十大弟子のなかでもっとも若い顔に彫られます。頬に張りがあり、皺がありません。

これは老僧の摩訶迦葉と並べたときの対比を作るためです。二人を並べると、若さと老いが一目で分かるようになっています。

頭を丸め、袈裟をまとい、装身具は着けません。

並び ─ 釈迦三体の一員

禅宗の寺では、釈迦如来・摩訶迦葉・阿難の三体を本堂に並べます。

向かって右が摩訶迦葉、左が阿難とされることが多くありますが、寺によって逆の例もあります。

三体で並んでいて、片方が老僧、片方が若い僧なら、それは迦葉と阿難です。

手 ─ 合掌が多い

胸の前で手を合わせる形が多く見られます。経巻を持つ作例もあります。

武器も法具も持ちません。 これは弟子の像に共通する決まりです。

広島の大願寺には、単独で重要文化財に指定された木造阿難尊者立像が伝わります。

阿難のご利益

記憶を確かにする

多聞第一と称されたことによる。

学びの成就

経典を伝えたことによる。

言葉を正しく伝える

聞いた言葉をそのまま口にしたという伝えによる。

阿難に会える寺

阿難の像は、禅宗の寺の本堂でもっともよく会えます。釈迦如来の脇に、摩訶迦葉と並んで立ちます。

十大弟子像の一員としても各地に伝わります。ここに挙げたのは、所有者が寺であることを文化庁の国指定文化財等データベースで確かめられたものだけです。

単独で指定された例がある点で、十大弟子のなかでは像に会いやすいほうです。

東福寺(とうふくじ)

重要文化財

地図で開く

東福寺の住所:京都府(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)

像:木造釈迦如来及迦葉阿難立像 三躯/重要文化財

この像に結び付く願い:学びの成就

釈迦如来・摩訶迦葉・阿難の三躯そろって指定されています。禅宗の寺の定型を示す作例です。

文化庁の国指定文化財等データベースでは、所有者が東福寺と記されています。

三躯一組で指定された例。

大願寺(だいがんじ)

重要文化財

地図で開く

大願寺の住所:広島県(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)

像:木造阿難尊者立像 一躯/重要文化財

この像に結び付く願い:記憶を確かにする

阿難だけで重要文化財に指定された、数少ない例です。

文化庁の国指定文化財等データベースでは、所有者が大願寺と記されています。厳島にある寺です。

同じ寺に薬師如来坐像の重要文化財も伝わる。

阿難をめぐる仏のつながり

阿難の位階と、似た仏との違い

阿難は羅漢と高僧の組に置かれます。十大弟子の一人です。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。阿難はそのどれにも属さず、悟りを得た弟子すなわち羅漢にあたります。

禅宗では、釈迦・摩訶迦葉・阿難を本堂に並べる形が定まっており、十大弟子のなかでは飛び抜けて像の数が多い弟子です。

摩訶迦葉 ─ 若さと老いの対

釈迦如来の左右に並べて置かれます。

見分けは顔です。摩訶迦葉は頬がこけ皺の深い老僧、阿難は張りのある若い顔に彫られます。この対比は意図して作られたものです。

多聞天 ─ 「多聞」の字が同じ

阿難は多聞第一と呼ばれ、四天王には多聞天がいます。字は同じですが、まったく別のものです。

見分けは容易です。多聞天は甲を着け、宝塔と鉾を持ち、邪鬼を踏みます。阿難は袈裟をまとった僧です。

羅睺羅 ─ どちらも若く彫られる

どちらも十大弟子のなかで若い顔に彫られます。

羅睺羅は釈迦の実の子で、密行第一と称されます。阿難は従弟で、多聞第一です。姿での見分けは難しく、名札で判じます。

阿難についてよくある質問

阿難とはどんな人ですか。

釈迦の従弟で、二十五年のあいだそばに仕えた弟子です。多聞第一と称され、釈迦の言葉をもっともよく覚えていたとされます。

阿難の読み方は。

「あなん」です。梵名アーナンダを音で写した「阿難陀」を縮めた形で、意味は「喜び」です。

「如是我聞」の「我」とは誰ですか。

阿難です。釈迦が世を去ったあと、弟子たちが教えをまとめたとき、阿難が聞いた言葉を口にし、それが経典になりました。

阿難はどう見分けますか。

釈迦如来の脇に立つ若い顔の僧です。反対側に頬のこけた老僧がいれば、それが摩訶迦葉で、二人一組になっています。

阿難の像はどこで見られますか。

京都の東福寺に釈迦如来と迦葉・阿難をそろえた重要文化財の三躯、広島の大願寺に単独の重要文化財の立像が伝わります。

阿難と併せて覚えたい言葉・用語

多聞第一(たもんだいいち)

十大弟子で阿難に与えられた称。

如是我聞(にょぜがもん)

経典の冒頭に置かれる語。「わたしはこう聞いた」。

結集(けつじゅう)

弟子たちが集まって教えをまとめたこと。