多聞第一と呼ばれた弟子。経典の言葉を記憶して伝えた。
阿難とはどんな仏か
阿難の読み方と梵名
読みは「あなん」です。
梵名アーナンダを音で写して「阿難陀」とし、それを縮めて「阿難」となりました。意味は「喜び」で、これを訳した「慶喜」という呼び方もあります。
多聞第一の「多聞」は、多くを聞いたという意味です。四天王の多聞天とは字が同じですが、まったく別のものを指します。
阿難(あなん)
もっとも広く使われる形。
阿難陀(あなんだ)
音を写した長い形。
慶喜(きょうき)
意味で訳した形。
アーナンダ(Ananda)
意味は「喜び」。生まれた日が吉事と重なったことによるとされる。読みは「あーなんだ」。
阿難の見分け方(印相・持ち物・姿)
釈迦如来の脇に立つ若い僧。反対側に老僧がいれば、それは摩訶迦葉です。
顔 ─ 若く彫られる
十大弟子のなかでもっとも若い顔に彫られます。頬に張りがあり、皺がありません。
これは老僧の摩訶迦葉と並べたときの対比を作るためです。二人を並べると、若さと老いが一目で分かるようになっています。
頭を丸め、袈裟をまとい、装身具は着けません。
並び ─ 釈迦三体の一員
禅宗の寺では、釈迦如来・摩訶迦葉・阿難の三体を本堂に並べます。
向かって右が摩訶迦葉、左が阿難とされることが多くありますが、寺によって逆の例もあります。
三体で並んでいて、片方が老僧、片方が若い僧なら、それは迦葉と阿難です。
手 ─ 合掌が多い
胸の前で手を合わせる形が多く見られます。経巻を持つ作例もあります。
武器も法具も持ちません。 これは弟子の像に共通する決まりです。
広島の大願寺には、単独で重要文化財に指定された木造阿難尊者立像が伝わります。
阿難のご利益
記憶を確かにする
多聞第一と称されたことによる。
学びの成就
経典を伝えたことによる。
言葉を正しく伝える
聞いた言葉をそのまま口にしたという伝えによる。
阿難に会える寺
阿難の像は、禅宗の寺の本堂でもっともよく会えます。釈迦如来の脇に、摩訶迦葉と並んで立ちます。
十大弟子像の一員としても各地に伝わります。ここに挙げたのは、所有者が寺であることを文化庁の国指定文化財等データベースで確かめられたものだけです。
単独で指定された例がある点で、十大弟子のなかでは像に会いやすいほうです。
東福寺(とうふくじ)
重要文化財
東福寺の住所:京都府(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)
像:木造釈迦如来及迦葉阿難立像 三躯/重要文化財
この像に結び付く願い:学びの成就
釈迦如来・摩訶迦葉・阿難の三躯そろって指定されています。禅宗の寺の定型を示す作例です。
文化庁の国指定文化財等データベースでは、所有者が東福寺と記されています。
三躯一組で指定された例。
大願寺(だいがんじ)
重要文化財
大願寺の住所:広島県(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)
像:木造阿難尊者立像 一躯/重要文化財
この像に結び付く願い:記憶を確かにする
阿難だけで重要文化財に指定された、数少ない例です。
文化庁の国指定文化財等データベースでは、所有者が大願寺と記されています。厳島にある寺です。
同じ寺に薬師如来坐像の重要文化財も伝わる。
阿難をめぐる仏のつながり
阿難の位階と、似た仏との違い
阿難は羅漢と高僧の組に置かれます。十大弟子の一人です。
仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。阿難はそのどれにも属さず、悟りを得た弟子すなわち羅漢にあたります。
禅宗では、釈迦・摩訶迦葉・阿難を本堂に並べる形が定まっており、十大弟子のなかでは飛び抜けて像の数が多い弟子です。
摩訶迦葉 ─ 若さと老いの対
釈迦如来の左右に並べて置かれます。
見分けは顔です。摩訶迦葉は頬がこけ皺の深い老僧、阿難は張りのある若い顔に彫られます。この対比は意図して作られたものです。
多聞天 ─ 「多聞」の字が同じ
阿難は多聞第一と呼ばれ、四天王には多聞天がいます。字は同じですが、まったく別のものです。
見分けは容易です。多聞天は甲を着け、宝塔と鉾を持ち、邪鬼を踏みます。阿難は袈裟をまとった僧です。
羅睺羅 ─ どちらも若く彫られる
どちらも十大弟子のなかで若い顔に彫られます。
羅睺羅は釈迦の実の子で、密行第一と称されます。阿難は従弟で、多聞第一です。姿での見分けは難しく、名札で判じます。
阿難についてよくある質問
阿難とはどんな人ですか。
釈迦の従弟で、二十五年のあいだそばに仕えた弟子です。多聞第一と称され、釈迦の言葉をもっともよく覚えていたとされます。
阿難の読み方は。
「あなん」です。梵名アーナンダを音で写した「阿難陀」を縮めた形で、意味は「喜び」です。
「如是我聞」の「我」とは誰ですか。
阿難です。釈迦が世を去ったあと、弟子たちが教えをまとめたとき、阿難が聞いた言葉を口にし、それが経典になりました。
阿難はどう見分けますか。
釈迦如来の脇に立つ若い顔の僧です。反対側に頬のこけた老僧がいれば、それが摩訶迦葉で、二人一組になっています。
阿難の像はどこで見られますか。
京都の東福寺に釈迦如来と迦葉・阿難をそろえた重要文化財の三躯、広島の大願寺に単独の重要文化財の立像が伝わります。
阿難と併せて覚えたい言葉・用語
多聞第一(たもんだいいち)
十大弟子で阿難に与えられた称。
如是我聞(にょぜがもん)
経典の冒頭に置かれる語。「わたしはこう聞いた」。
結集(けつじゅう)
弟子たちが集まって教えをまとめたこと。