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如来

天鼓雷音如来(てんくらいおんにょらい)とはどんな仏か|見分け方とご利益

天鼓雷音如来  / テンクライオンニョライ

救済 密教

胎蔵界曼荼羅の北をあずかり、雷のような響きの名を持つ如来。

天鼓雷音如来とはどんな仏か

天鼓雷音如来をひとことで言えば曼荼羅の北の仏です。胎蔵界五仏のうち、北を受け持ちます。

名は、天の鼓が鳴りわたる音を意味します。打つ者がいないのに鳴りつづける鼓という、経典に出てくるたとえにもとづきます。誰かが説いて聞かせるのではなく、教えがおのずと響いているさまを表した名とされます。

割り当てられているのは涅槃、すなわち道のりの行き着く先です。東の発心から始まった四つの段の、最後にあたります。

単独で信仰されることはほとんど無く、日本では曼荼羅の図のなかで会う仏です。 彫像として残った例は確かめられていません。

天鼓雷音如来の読み方と梵名

読みは「てんくらいおんにょらい」です。「てんこ」とは読みません。

「天鼓」は天にある鼓のことです。仏典では、打たなくても自ら鳴る鼓としてたびたび引かれます。

「雷音」は雷のような響きを指します。あわせて、遠くまで届く大きな音がひとりでに鳴りつづけるさまを表しています。

天鼓雷音如来(てんくらいおんにょらい)

もっとも広く使われる形。

天鼓雷音仏(てんくらいおんぶつ)

経典に多い形。

鼓音如来(くおんにょらい)

短く呼ぶ形。

ドゥンドゥビスヴァラ(Dundubhisvara)

意味は「鼓の響き」。「ドゥンドゥビ」が鼓、「スヴァラ」が音声を指す。読みは「どぅんどぅびすう゛ぁら」。

天鼓雷音如来の見分け方(印相・持ち物・姿)

曼荼羅の北の花びらに座っているかどうかで判じます。姿だけでは区別がつきません。

位置 ─ 中台八葉院の北

胎蔵界曼荼羅の中心、八枚の花びらの北にあたる一枚に座ります。

密教の図では上が西、下が東という約束が使われるため、北は向かって右側にあたります。

位置で判じるのがもっとも確実です。名の札が添えられている図もあります。

姿 ─ 入定の印

坐像で表され、両手を膝の上で重ねる印を結ぶとされます。静かに定に入った姿です。

体の色は黒、あるいは深い青とされます。涅槃という割り当てに合わせて、しずまりかえった色が選ばれています。

持ち物はありません。如来の決まりどおりです。

割り当て ─ 涅槃

四方の四体には発心・修行・菩提・涅槃が割り当てられ、この仏は涅槃を受け持ちます。

涅槃とは、迷いの火が吹き消された静かな境地を指します。四つの段の終点です。

東の宝幢如来から始まり、南の開敷華王如来、西の無量寿如来を経て、ここで一巡します。

なぜ像が少ないのか

この仏だけを本尊とする堂は、日本ではほとんど育ちませんでした。

理由は、曼荼羅の一員として意味を持つ仏だからです。五体そろって初めて道のりを表すという組み立てのため、一体を取り出す動機が生まれにくいのです。

そのため彫像はきわめて少なく、名は図のなかに残っています。

天鼓雷音如来のご利益

静けさを得る

涅槃を割り当てられていることによる。

教えが届く

打たずに鳴る鼓のたとえによる。

迷いを鎮める

定に入った姿で表されることによる。

天鼓雷音如来に会える寺

天鼓雷音如来だけを安置する堂は、日本では確かめられませんでした。

文化庁の国指定文化財等データベースでも、この名を持つ国指定の彫刻は確かめられませんでした。彫像そのものが作られてこなかった仏です。

会えるとすれば、堂に掛けられた胎蔵界曼荼羅の北の花びらの上ということになります。 図の中心に近いところを探してください。

天鼓雷音如来をめぐる仏のつながり

化身・同じ経典 三尊・脇侍・眷属 対になる仏 混同・見分け

天鼓雷音如来の位階と、似た仏との違い

天鼓雷音如来は如来の位に置かれます。胎蔵界五仏の一体です。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。天鼓雷音如来は最上位の如来にあたります。

胎蔵界曼荼羅では、中心の五仏を囲むように菩薩・明王・天部が幾重にも配されます。位階の順序が、そのまま同心円の配置になっています。

不空成就如来 ─ どちらも北をあずかる

金剛界五仏で北を受け持つのが不空成就如来です。方角のうえで対応します。

両者を同じ仏とみなす説もあります。 ただし胎蔵界と金剛界では、割り当てられた意味が異なります。

大日如来 ─ 中央と北

どちらも胎蔵界五仏です。大日如来は中央、天鼓雷音如来は北にあたります。

大日如来は装身具を着けて宝冠をかぶりますが、四方の四体は如来の決まりどおり何も着けません。

涅槃仏 ─ 涅槃という語が重なる

涅槃仏は、釈迦が横たわって世を去る姿を表した像です。名に涅槃の語を含みますが、別の仏です。

天鼓雷音如来は座った姿で、横たわりません。 涅槃という語が、こちらでは境地を指しています。

天鼓雷音如来についてよくある質問

天鼓雷音如来とはどんな仏ですか。

胎蔵界曼荼羅の中台八葉院で北を受け持つ如来です。打つ者がいないのに鳴りつづける天の鼓を名に持ちます。

読み方は。

「てんくらいおんにょらい」です。「てんこ」とは読みません。

どう見分けますか。

姿だけでは区別がつきません。胎蔵界曼荼羅の北の花びらに座っているかどうかで判じます。

何が割り当てられていますか。

涅槃です。東の発心、南の修行、西の菩提に続く、四つの段の終点にあたります。

天鼓雷音如来の像はどこで見られますか。

文化庁の国指定文化財等データベースでも、この名を持つ国指定の彫刻は確かめられませんでした。曼荼羅の図のなかで見ることになります。

天鼓雷音如来と併せて覚えたい言葉・用語

天鼓(てんく)

天にあるとされる鼓。打たなくても自ら鳴るとたとえられる。

涅槃(ねはん)

迷いの火が吹き消された静かな境地。

定印(じょういん)

膝の上で両手を重ねる印。定に入っていることを示す。