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如来

涅槃仏(ねはんぶつ)|寝釈迦とはどんな仏か|見分け方とご利益

釈迦涅槃像  / ネハンブツ

救済 奈良仏教

釈迦がこの世を去るときの姿を横たわる形で表した像。寝釈迦ともいう。

涅槃仏とはどんな仏か

涅槃仏をひとことで言えば横たわった釈迦如来です。八十歳で世を去る場面をそのまま彫った像で、寝釈迦とも呼びます。

「涅槃」は、煩悩の火が吹き消された状態を指す言葉です。釈迦が肉体を離れることを、とくに入涅槃といいます。

場面は経典に細かく記されています。二本ずつ生えた沙羅の木のあいだに床を敷き、頭を北へ、顔を西へ向けて右脇を下に横たわった。弟子と生きものたちが取り囲んで嘆いた。枕もとに集まる動物の顔ぶれまで決まっているのが、この場面の面白いところです。

日本では絵に描いた涅槃図が主で、二月十五日の涅槃会に掛けて供養します。立体の像はずっと数が少なく、東南アジアの寺に見られる巨大な寝釈迦とは事情が違います。

なぜ日本で立体像が少ないのかについては、横たわる姿が堂の正面に据えにくいこと、絵のほうが物語を描きこめることなどが理由に挙げられます。

涅槃仏の読み方と梵名

読みは「ねはんぶつ」です。像そのものを指すときは「ねはんぞう」ともいいます。

「涅槃」は梵語ニルヴァーナの音を漢字に写したものです。意味は「吹き消すこと」で、ろうそくの火を吹き消すように煩悩が消えた状態を指します。

日ごろは「寝釈迦」と呼ばれることも多く、各地の石仏の名にもこの形が使われています。寺の案内板に「寝釈迦」とあれば、それは涅槃仏のことです。

涅槃仏(ねはんぶつ)

横たわる姿の像を指す一般的な呼び方。

涅槃像(ねはんぞう)

文化財の登録では「釈迦涅槃像」の形が使われる。

寝釈迦(ねしゃか)

日ごろの言い方。石仏の名にも用いられる。

臥仏(がぶつ)

横たわる仏という意味の言い方。

ニルヴァーナ(Nirvana)

意味は「吹き消すこと」。煩悩の火が消えた状態を指す。「涅槃」はこの音を写した字。読みは「にるう゛ぁーな」。

パリニルヴァーナ(Parinirvana)

意味は「完全な涅槃」。肉体を離れて涅槃に入ることを指す。

涅槃仏の見分け方(印相・持ち物・姿)

涅槃仏の見分けは、横になっている向きと、体の置き方にあります。決まりが細かく定められており、それを知っていると像の読み方が変わります。

向き ─ 頭は北、顔は西

頭を北に向け、顔を西へ向けるのが決まりです。これを頭北面西といいます。

右の脇腹を下にして横たわり、右腕を頭の下に添えるか枕とします。左腕は体に沿ってまっすぐ伸ばします。

日本の葬送で亡くなった人を北枕に寝かせるのは、この姿にならったものです。仏像の決まりが、そのまま日本の習わしになった珍しい例です。

目と口 ─ 眠っているのではない

目は閉じるものと、半眼に開くものの両方があります。

眠りではなく、意識をたもったまま息を引き取る場面とされるため、完全に閉じない作例が多くあります。口もとはわずかに結ばれ、苦しみの色は見せません。

顔だけを見ると眠っているようですが、涅槃図では周囲の弟子たちが泣き崩れており、その対比で場面の意味がわかるようになっています。

足 ─ そろえて重ねる

両足はまっすぐ伸ばし、そろえて重ねます。左右にずらして置く例もあります。

足の裏には千輻輪相という車輪の模様を彫ることがあります。仏の体に備わる三十二の特徴のひとつで、横たわった姿だからこそ見える部分です。

涅槃図では、遅れて駆けつけた母の摩耶夫人のために、釈迦が棺から足を出したという場面も描かれます。

周囲 ─ 沙羅の木と、嘆く生きもの

床の四隅には沙羅双樹が立ちます。二本ずつ四方に生え、釈迦の死とともに白く枯れたと伝えられます。

周りには弟子・菩薩・天部のほか、象・獅子・犬・猫などの動物が集まって嘆きます。この顔ぶれは涅槃図で細かく決まっており、猫が描かれるかどうかは絵ごとに違います。

立体の像では周囲まで造る例は少なく、像単体で伝わるのがふつうです。

涅槃仏のご利益

安らかな最期

苦しみなく息を引き取る場面であることによる。

先祖供養

涅槃会が二月十五日に営まれ、供養の場となることによる。

病気平癒

涅槃図を掛けて祈る習わしが各地にある。

無常を知る

仏でさえ肉体を離れることを示す姿とされる。

涅槃仏に会える寺

涅槃仏の立体像は、日本ではたいへん数が少ないものです。国が指定した彫刻としては、長野の世尊院の銅造像がほぼ唯一にあたります。

各地の寺にある「寝釈迦」の多くは、江戸時代以降に造られた石仏か木像で、国の指定は受けていません。

涅槃の場面に会いたいときは、二月十五日前後に掛けられる涅槃図を訪ねるほうが確実です。京都の東福寺、奈良の東大寺など、大きな涅槃図を持つ寺が各地にあります。

世尊院 釈迦堂(せそんいん しゃかどう)

重要文化財

地図で開く

世尊院 釈迦堂の住所:長野県(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)

像:銅造釈迦涅槃像 一躯/重要文化財

この像に結び付く願い:安らかな最期

文化庁の国指定文化財等データベースで、彫刻の釈迦涅槃像として登録されている数少ない一件です。

所有者は世尊院と記されています。

銅で造られた等身の涅槃像は、日本ではきわめて例が少ないものです。

所有者は文化庁の国指定文化財等データベースで確認した。

涅槃仏をめぐる仏のつながり

涅槃仏の位階と、似た仏との違い

涅槃仏は如来の位に置かれます。釈迦如来そのものであり、別の仏ではありません。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。涅槃仏は釈迦如来の一つの姿なので、如来にあたります。

如来の像は、その生涯のどの場面を表すかで形が変わります。生まれた瞬間を表すのが誕生仏、悟りを開く場面が降魔成道、そして最期の場面がこの涅槃仏です。同じ釈迦如来が、場面ごとに違う像になります。

釈迦如来 ─ 同じ仏の別の場面

涅槃仏は釈迦如来そのものです。別の仏ではありません。

坐った釈迦如来は説法や瞑想の場面、立った釈迦如来は歩む姿や説法に向かう姿を表します。横たわる姿だけが、最期の場面にあたります。

寺によっては、同じ堂に坐像と涅槃像の両方を置くこともあります。

誕生仏 ─ 生涯の両端

誕生仏は、生まれてすぐ七歩あるいて天と地を指さした場面を表す小さな立像です。四月八日の灌仏会で甘茶をかけます。

誕生仏が生涯のはじまり、涅槃仏が終わりにあたります。どちらも釈迦如来の一つの姿です。

誕生仏は片手を上げ片手を下げた童子の形、涅槃仏は横たわった大人の姿という違いがあります。

弥勒菩薩 ─ 去った仏と、来る仏

釈迦が涅槃に入ったあと、次に仏となることが決まっているのが弥勒菩薩です。

その間の長い年月を受け持つのが地蔵菩薩です。涅槃仏・地蔵菩薩・弥勒菩薩の三体で、仏のいない時代の見取り図ができあがります。

弥勒菩薩は頬に指を添えて考えこむ姿、涅槃仏は横たわる姿で、形はまったく違います。

涅槃仏についてよくある質問

涅槃仏とは何ですか。

釈迦如来が八十歳で世を去る場面を、横たわった姿で表した像です。寝釈迦とも呼びます。

なぜ頭を北に向けているのですか。

経典に、頭を北へ顔を西へ向けて横たわったと記されているためです。日本の葬送で北枕にする習わしは、この姿にならったものとされます。

涅槃仏は眠っているのですか。

眠りではありません。意識をたもったまま息を引き取る場面とされるため、目を半分開いた作例も多くあります。

日本に涅槃仏の像は多いですか。

少ない仏です。国が指定した彫刻は長野の世尊院の銅造像がほぼ唯一で、絵に描いた涅槃図のほうが数多く伝わります。

涅槃会とは何ですか。

釈迦が世を去った日とされる二月十五日に営まれる法要です。涅槃図を掛け、経を読んで供養します。

涅槃仏と併せて覚えたい言葉・用語

頭北面西(ずほくめんさい)

頭を北、顔を西に向けて横たわる姿勢。涅槃の場面の決まり。

沙羅双樹(さらそうじゅ)

釈迦が横たわった床の四隅に二本ずつ立つ木。

涅槃会(ねはんえ)

二月十五日に営む法要。涅槃図を掛けて供養する。

千輻輪相(せんぷくりんそう)

仏の足の裏にあるとされる車輪の模様。

誕生仏(たんじょうぶつ)

生まれた直後の釈迦を表す小さな立像。灌仏会に用いる。