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菩薩

大権修利菩薩(だいげんしゅりぼさつ)|招宝七郎とはどんな仏か|見分け方とご利益

大権修利菩薩  / ダイゲンシュリボサツ

守護 禅

禅宗の寺を守るとされる尊格。額に手をかざして遠くを見る姿。

大権修利菩薩とはどんな仏か

大権修利菩薩をひとことで言えば禅宗の寺の守り役です。招宝七郎大権修利菩薩と長く呼ぶこともあります。

中国の阿育王山にゆかりがあり、そこから日本へ伝わったとされます。海を渡って教えを求めに行く僧を見守り、無事に帰らせる役を負うと語られてきました。

像は独特で、覚えてしまえばすぐに見分けられます。片手を額にかざし、遠くをうかがう姿に造られます。役どころが、そのまま手の形になっている像です。

菩薩の名を持ちますが、経典に説かれる菩薩ではありません。寺を守る側の尊格として扱われ、曹洞宗や臨済宗の寺の仏殿や山門に安置されます。

大権修利菩薩の読み方と梵名

読みは「だいげんしゅりぼさつ」です。「だいごんしゅり」と読む寺もあります。

「大権」は、仮に姿を現すという意味の語です。もとの姿を隠して人の前に現れる、という考え方を指します。

「招宝」は中国の地の名にちなむとされますが、由来には諸説があり、はっきりしていません。

大権修利菩薩(だいげんしゅりぼさつ)

もっとも広く使われる形。

招宝七郎大権修利菩薩(しょうほうしちろうだいげんしゅりぼさつ)

長く正式に呼ぶ形。

大権菩薩(だいげんぼさつ)

短く呼ぶ形。

招宝七郎(しょうほうしちろう)

前半だけで呼ぶ形。

大権修利菩薩の見分け方(印相・持ち物・姿)

片手を額にかざして遠くを見る。 この一つの仕草だけで見分けがつきます。

手 ─ 額にかざす

片手を額の前に持ち上げ、掌を下に向けてひさしのようにかざします。遠くを見はるかす仕草です。

他の尊格でこの形をとるものはほとんどありません。 大権修利菩薩を見分ける最大の決め手になります。

もう一方の手は腰に置くか、衣の端を握ります。

身なり ─ 中国風の衣

中国の官人のような衣冠を着け、袖の長い衣をまとう姿に造られます。

菩薩の名を持ちながら、宝冠や瓔珞といった菩薩の装身具は着けません。

身なりだけを見れば、菩薩というより人の姿に近く作られています。

置かれる場所 ─ 仏殿の脇

禅宗の寺では、仏殿や山門の脇に安置されます。本尊として堂の中央に据えられることはありません。

伽藍を守る役を負うため、堂の入口に近いところに置かれるのがふつうです。

同じ役目の像がいくつか並べられ、まとめて伽藍神像と呼ばれることもあります。

大権修利菩薩のご利益

守護

寺の伽藍を守る役を負うとされることによる。

旅の安全

海を渡る僧を見守るとされることによる。

志を貫く

教えを求める者を助けるとされることによる。

大権修利菩薩に会える寺

大権修利菩薩の名で国の指定を受けた彫刻は、確かめられませんでした。

文化庁の国指定文化財等データベースで探しても、この名を持つ国指定の彫刻は見つかりません。禅宗の寺には「伽藍神像」としてまとめて指定された像がありますが、そのなかに大権修利菩薩が含まれるかどうかは確かめられませんでした。

寺で会える像の多くは、国の指定を受けていないものです。曹洞宗や臨済宗の寺の仏殿を訪ねたとき、額に手をかざした像がないか探してみてください。

堂の説明板に名が記されている場合があります。

大権修利菩薩をめぐる仏のつながり

化身・同じ経典 三尊・脇侍・眷属 対になる仏 混同・見分け

大権修利菩薩の位階と、似た仏との違い

大権修利菩薩は菩薩の名を持ちますが、はたらきは天部に近い守り役です。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。名は菩薩ですが、経典に説かれる菩薩ではありません。

寺や教えを守る側に立つ点では、天部に置かれる尊格に近い扱いを受けます。名と、実際の役どころとがずれている例です。

韋駄天 ─ どちらも寺を守る

どちらも寺の伽藍を守る役を負います。韋駄天は甲を着け、宝剣を両手で捧げ持つ姿に造られます。

大権修利菩薩は甲を着けず、額に手をかざします。手の位置を見れば分かれます。

達磨 ─ どちらも禅宗の寺にいる

どちらも禅宗の寺で祀られます。達磨は衣を頭からかぶり、髭の濃い異国の顔つきで座ります。

大権修利菩薩は立った姿が多く、額に手をかざします。座るか立つかでも分かれます。

深沙大将 ─ どちらも旅を守る

どちらも道行きを守る役を負います。深沙大将は髑髏の瓔珞を掛け、腹に人の顔を持つという異形の姿です。

大権修利菩薩は人の姿で、異形の要素がありません。

大権修利菩薩についてよくある質問

大権修利菩薩とはどんな尊格ですか。

禅宗の寺で伽藍を守るとされる尊格です。招宝七郎大権修利菩薩とも呼ばれ、中国の阿育王山にゆかりがあるとされます。

大権修利の読み方は。

「だいげんしゅり」です。「だいごんしゅり」と読む寺もあります。

どう見分けますか。

片手を額にかざして遠くを見る姿です。この仕草をとる尊格はほとんどないため、一目で分かります。

なぜ菩薩の名が付いているのですか。

仮に姿を現すという意味の「大権」を冠した呼び名ですが、経典に説かれる菩薩ではありません。名と役どころがずれている例です。

大権修利菩薩の像はどこで見られますか。

この名で国の指定を受けた彫刻は確かめられませんでした。曹洞宗や臨済宗の寺の仏殿や山門で、指定を受けていない像として祀られています。

大権修利菩薩と併せて覚えたい言葉・用語

伽藍(がらん)

寺の建物のひとまとまり。

大権(だいげん)

仮に姿を現すこと。もとの姿を隠して現れること。

仏殿(ぶつでん)

禅宗の寺で本尊を安置する堂。