中国の九華山で行を積み、地蔵菩薩の生まれ変わりとされた僧。
金喬覚とはどんな仏か
金喬覚をひとことで言えば地蔵菩薩とされた僧です。八世紀に新羅から中国へ渡り、安徽の九華山にこもって行を積んだと伝えられます。
俗姓が金であったことから、金地蔵とも呼ばれます。
世を去ったあと、体が朽ちなかったことから、地蔵菩薩がこの世に現れた姿と受け取られました。 九華山はこれを機に地蔵菩薩の霊場として知られるようになり、中国の四大仏教名山のひとつに数えられています。
像は僧の姿で座り、手に錫杖か宝珠を持ちます。地蔵菩薩そのものと持ち物が同じになるため、像だけを見て区別するのはむずかしくなっています。
九華山の公式資料では、唐の開元年間末に九華山へ入り、七十五年間修行して九十九歳で亡くなったという伝承が紹介されています。遺体を甕に納め、三年後も姿が変わらなかったことを、弟子たちが地蔵菩薩の応現と受け取ったと説明しています。史実として確定した年齢と、霊場に伝わる信仰上の物語は分けて読む必要があります。
金喬覚の読み方と梵名
読みは「きんきょうかく」です。
新羅の王族の出とされ、姓が金でした。「喬覚」が名にあたります。
梵名はありません。インドの仏ではなく、実在したとされる僧だからです。 九華山では「金地蔵」の呼び方が広く使われます。
金喬覚(きんきょうかく)
もっとも広く使われる形。
金地蔵(きんじぞう)
俗姓の金にちなむ呼び方。
地蔵比丘(じぞうびく)
僧としての呼び方。
金喬覚の見分け方(印相・持ち物・姿)
僧の姿で座り、錫杖か宝珠を持つ。 地蔵菩薩と姿がほとんど同じです。
姿 ─ 頭を丸めた僧
頭を丸め、袈裟をまとって座ります。冠も瓔珞も着けません。
地蔵菩薩も頭を丸めるため、この点では区別がつきません。
顔は年を重ねた僧として彫られることが多くあります。
持ち物 ─ 錫杖と宝珠
錫杖と宝珠を持つ形が多く見られます。これは地蔵菩薩とまったく同じ持ち物です。
そのため、堂の名や添えられた名で判じることになります。
中国では、白い犬を従えた姿で表されることがあります。諦聴という霊獣とされ、日本ではほとんど見られません。
見分け ─ 名で判じる
姿だけで地蔵菩薩と分けるのは困難です。
手がかりは、堂の名と像に添えられた札です。九華山にちなむ名が出ていれば、この人にあたります。
日本ではこの人だけを祀る堂がほとんど無いため、混同する機会そのものが多くありません。
金喬覚のご利益
亡き人を救う
地蔵菩薩の現れとされることによる。
志を貫く
山にこもって行を積んだという伝えによる。
旅の安全
海を渡って中国へ行ったという伝えによる。
金喬覚に会える寺
日本にこの人だけを祀る堂は、確かめられませんでした。
文化庁の国指定文化財等データベースでも、「金喬覚」「金地蔵」の名を持つ国指定の彫刻は見つかりません。
信仰の中心は中国の九華山にあります。日本では、地蔵菩薩の信仰をたどるときに名の出る人物として覚えておくとよいでしょう。
金喬覚をめぐる仏のつながり
金喬覚の位階と、似た仏との違い
金喬覚は羅漢と高僧の組に置かれます。実在したとされる僧です。
仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。金喬覚はそのどれにも属しません。
ただし、地蔵菩薩がこの世に現れた姿とされる点で、人と菩薩の境目にいるめずらしい例です。
地蔵菩薩 ─ 現れた姿とされる
金喬覚は地蔵菩薩がこの世に現れた姿とされます。持ち物も姿もほとんど同じです。
見分けは名で判じるほかありません。九華山にちなむ名が出ていれば金喬覚です。
達磨 ─ どちらも海を渡った僧
どちらも生まれた土地を離れ、中国で祀られるようになりました。
見分けは姿です。達磨は衣を頭からかぶり髭が濃く、金喬覚は頭を丸めた僧です。持ち物も、達磨は無く、金喬覚は錫杖と宝珠を持ちます。
役行者 ─ どちらも山にこもった
どちらも山にこもって行を積み、後に祖と仰がれました。
見分けは持ち物と履物です。役行者は一本歯の高下駄をはき二鬼を従えます。金喬覚は僧の姿で座ります。
金喬覚についてよくある質問
金喬覚とはどんな人ですか。
八世紀に新羅から中国へ渡り、安徽の九華山にこもって行を積んだとされる僧です。世を去ったあと地蔵菩薩の現れと受け取られました。
金喬覚の読み方は。
「きんきょうかく」です。俗姓が金であったことから「金地蔵(きんじぞう)」とも呼ばれます。
地蔵菩薩とどう違いますか。
地蔵菩薩は経典に説かれる菩薩、金喬覚は実在したとされる僧です。ただし持ち物も姿もほとんど同じで、像だけで区別するのはむずかしくなっています。
金喬覚の像は日本で見られますか。
この人だけを祀る堂は確かめられませんでした。文化庁の国指定文化財等データベースにも、この名を持つ国指定の彫刻はありません。
金喬覚と併せて覚えたい言葉・用語
九華山(きゅうかさん)
中国の地蔵菩薩の霊場。金喬覚が行を積んだ山。
錫杖(しゃくじょう)
先に金属の輪が付いた杖。地蔵菩薩も持つ。
化身(けしん)
仏や菩薩が姿を変えてこの世に現れること。