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如来

佐貫石仏(さぬきせきぶつ)|佐貫観音とはどんな仏か|見分け方・ご利益

佐貫観音  / サヌキセキブツ

救済 民間信仰

栃木の川沿いの岩壁に彫られた大日如来の坐像。観音の名で呼ばれてきた。

佐貫石仏とはどんな仏か

佐貫石仏をひとことで言えば崖に彫られた大日如来です。栃木県の鬼怒川沿いにそびえる岩壁に彫られています。

岩の面をそのまま削って仏を表す形式を磨崖仏といいます。堂に納めて動かせる仏像とは違い、土地から切り離せません。

彫られているのは大日如来の坐像です。それにもかかわらず「佐貫観音」と呼ばれてきました。岩の上方にある奥の院に観音菩薩の像が納められており、その名が崖の仏そのものの名として広まったためとされます。

空海が唐から戻ったのち、一夜のうちに彫り上げたという言い伝えがあります。ただし彫られた時期は平安時代の終わりから鎌倉時代の初めごろとみられており、伝えと年代は合いません。

佐貫石仏の読み方と梵名

読みは「さぬきせきぶつ」です。「佐貫」は土地の名です。

四国の讃岐と字は違いますが、伝えのなかには讃岐にゆかりのある人物が登場します。土地の名と伝えの人物が結びついて語られてきました。

「佐貫観音」という呼び方が広く使われますが、彫られているのは大日如来です。名と像が食い違っている例として知られます。

佐貫石仏(さぬきせきぶつ)

文化財としての呼び方に近い形。

佐貫観音(さぬきかんのん)

地元で広く使われてきた呼び方。

佐貫磨崖仏(さぬきまがいぶつ)

形式を添えた言い方。

佐貫石仏の見分け方(印相・持ち物・姿)

大日如来の坐像でありながら「観音」と呼ばれてきたことが、この石仏のいちばんの特徴です。

形式 ─ 磨崖仏とは

崖や巨岩の面を削って仏を表す形式を磨崖仏といいます。彫った場所から動かせないことが、堂の仏像との決定的な違いです。

雨風に直接さらされるため、時とともに輪郭が失われていきます。 顔立ちが判じられなくなった例も多くあります。

岩に彫る形式そのものには、国宝の臼杵磨崖仏(大分県)をはじめ、国の指定を受けた例があります。

尊像 ─ 大日如来の坐像

彫られているのは大日如来の坐像とされます。大日如来は如来でありながら宝冠をかぶり装身具を着ける、例外的な姿の仏です。

それにもかかわらず、地元では長く「佐貫観音」と呼ばれてきました。

名と像が食い違ったまま定着した、めずらしい例です。

奥の院 ─ 名の食い違いの理由

岩の上方には奥の院があり、大悲窟と呼ばれます。ここに観音菩薩の像が納められていると伝えられます。

その名が、崖に彫られた仏そのものの名として広まったと説明されています。

堂の名と本尊の名が入れ替わるという、寺の呼び名にはしばしば起こることです。

年代 ─ 伝えと合わない

空海が一夜で彫り上げたという言い伝えがあります。一夜彫りの伝えは、各地の石仏に共通してみられる型です。

一方、彫られた時期は平安時代の終わりから鎌倉時代の初めごろとみられています。伝えの年代とは合いません。

言い伝えは像の来歴そのものではなく、その像をどう受け止めてきたかを伝えるものと読むのがよいでしょう。

なぜ資料が乏しいのか

磨崖仏は、寺の堂に納められた仏像と違って、造った人や願いを記した記録が残りにくい性質を持ちます。

台座や光背に銘を刻む余地が無く、寺の帳面にも載りにくいためです。

国の史跡としての指定は受けていますが、彫刻としての国の指定は確かめられませんでした。 土地とあわせて守る形になっています。

佐貫石仏のご利益

土地を鎮める

川沿いの岩壁に彫られていることによる。

道中の安全

川を渡る場所に置かれてきたことによる。

救済

観音の名で呼ばれてきたことによる。

佐貫石仏に会える寺

佐貫石仏の名を持つ国指定の彫刻は、確かめられませんでした。

文化庁の国指定文化財等データベースを「佐貫」で引いても、該当する彫刻は確かめられませんでした。国の史跡としての指定は受けていますが、彫刻としての国の指定とは別のしくみです。

磨崖仏は寺の所有物とはかぎらず、土地とあわせて守られている例が多くあります。詳しい住所と拝観の可否は、公式の情報を確かめられませんでした。

佐貫石仏をめぐる仏のつながり

佐貫石仏の位階と、似た仏との違い

佐貫石仏に彫られているのは大日如来で、如来の位に置かれます。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。大日如来は最上位の如来にあたります。

ただし「佐貫観音」という呼び名は菩薩の名です。 呼び名と像の位階が食い違ったまま伝わってきた例になります。

大日如来 ─ 彫られている仏そのもの

佐貫石仏に彫られているのは大日如来とされます。

大日如来は如来でありながら宝冠と装身具を着けます。 磨崖仏では風化が進んで細部が判じにくくなることが多く、姿から確かめるのは容易ではありません。

大迫磨崖仏 ─ どちらも岩に彫られた大日如来

どちらも磨崖仏で、大日如来を表すとされます。大迫磨崖仏は大分県に伝わります。

佐貫石仏は削り出しただけ、大迫磨崖仏は土を塗り重ねて仕上げてあります。 作り方が違います。

観音菩薩 ─ 呼び名だけが重なる

「佐貫観音」という呼び名は観音菩薩に由来します。奥の院に納められた像の名が広まったとされます。

呼び名と、崖に彫られた仏は別のものです。 名だけで判断すると誤ります。

佐貫石仏についてよくある質問

佐貫石仏とは何ですか。

栃木県の鬼怒川沿いの岩壁に彫られた磨崖仏です。彫られているのは大日如来の坐像とされます。

なぜ「佐貫観音」と呼ばれるのですか。

岩の上方の奥の院に観音菩薩の像が納められており、その名が崖の仏そのものの名として広まったためとされます。

いつ彫られたものですか。

平安時代の終わりから鎌倉時代の初めごろとみられています。空海が一夜で彫ったという言い伝えは、年代と合いません。

磨崖仏とは何ですか。

崖や巨岩の面を削って仏を表す形式です。彫った場所から動かせず、雨風に直接さらされます。

国の指定を受けていますか。

国の史跡としての指定は受けています。ただし文化庁の国指定文化財等データベースで、彫刻としての国の指定は確かめられませんでした。

佐貫石仏と併せて覚えたい言葉・用語

磨崖仏(まがいぶつ)

崖や巨岩の面を削って表した仏像。

奥の院(おくのいん)

本堂より奥に設けられた聖域。

史跡(しせき)

土地とあわせて守るべきものとして国が指定する区分。

一夜彫り(いちやぼり)

一晩で彫り上げたという言い伝えの型。各地の石仏に共通する。