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天部

歓喜天(かんぎてん)|聖天とはどんな仏か|見分け方・ご利益・会える寺

大聖歓喜自在天  / カンギテン

守護福徳 インド由来

象の頭を持ち、二体が抱き合う姿で表される天部。多くが秘仏。

歓喜天とはどんな仏か

歓喜天はひとことで言えば見ることのできない仏です。聖天とも呼びます。

象の頭と人の体を持ちます。一体で立つ単身像と、男女二体が向かい合って抱き合う双身像があり、日本では後者が多く造られました。

双身の姿には由来が語られます。この仏はもともと仏法を妨げる神でしたが、十一面観音が女身に姿を変えて現れ、抱き止めることで味方に転じさせたとされます。抱き合う二体は、その場面をそのまま形にしたものです。

願いを聞き届ける力が強い一方、扱いを誤ると障りがあると説かれてきました。そのため像はほとんどが厨子に納められた秘仏で、住職ですら開けないという寺もあります。

姿を見ることができない、という点までがこの仏の特徴です。仏像図鑑としては、見られないことを書くほかにありません。

歓喜天の読み方と梵名

読みは「かんぎてん」、通称は「しょうてん」です。「聖天」を「せいてん」とは読みません。

梵名のヴィナーヤカには「取り除く者」と「障りをなす者」の両方の意味があるとされます。助けにも障りにもなるというこの仏の性格が、名にそのまま表れています。

インドで象の頭を持つ神ガネーシャと同じ系統にさかのぼります。

歓喜天(かんぎてん)

もっとも広く使われる形。

聖天(しょうてん)

通称。「◯◯聖天」の形で寺の名に使われる。

大聖歓喜自在天(だいしょうかんぎじざいてん)

正式に近い形。

双身歓喜天(そうしんかんぎてん)

二体が抱き合う形。

毘那夜迦(びなやか)

梵名を音で写した形。

ヴィナーヤカ(Vinayaka)

意味は「取り除く者、あるいは障りをなす者」。読みは「ゔぃなーやか」。「毘那夜迦」はこれを音で写したもの。

ガネーシャ(Ganesa)

意味は「群れの主」。読みは「がねーしゃ」。インドで象の頭を持つ神の名。

歓喜天の見分け方(印相・持ち物・姿)

歓喜天の見分けは、像を見ることができれば容易です。象の頭を持つ仏はほかにありません。問題は、見られる機会がほとんどないことです。

頭 ─ 象の頭

象の頭と人の体を持ちます。鼻が長く垂れ、牙が突き出します。

象の頭を持つ仏はほかにありません。頭が象なら歓喜天で、迷う余地はありません。

普賢菩薩や帝釈天は象に「乗り」ますが、頭は人のものです。乗っているのか、頭そのものが象なのかを見分けます。

双身像 ─ 二体が抱き合う

男女二体が向かい合い、互いの肩に頭を乗せて抱き合う姿です。

女天は十一面観音が姿を変えたものとされます。仏が敵を抱き止めて味方に変えた場面を表しています。

この形は日本で多く造られました。裸のまま彫られることが多く、公開を避ける理由の一つとされます。

単身像 ─ 一体で立つ

一体で立つ形もあります。象頭人身で、四本または六本の腕を持ち、斧・大根・歓喜団などを握ります。

大根は歓喜天に供えるものとして知られ、寺の紋にも用いられます。歓喜団は油で揚げた菓子で、これも供物です。

単身像も秘仏とされることが多く見られます。

安置 ─ 厨子の中

歓喜天は厨子に納められ、公開されないのが原則です。

扱いを誤ると障りがあるとされ、祀るには決まった作法が要求されます。参拝はできても、像を拝観できる寺はほとんどありません。

「会えるが、見えない」という仏です。この図鑑の「会える寺」の欄も、そのことを前提に読む必要があります。

歓喜天のご利益

商売繁盛

願いを聞き届ける力が強いとされることによる。

夫婦和合

双身像が抱き合う姿によるとされる。

子授け

同じく双身像の姿による。

所願成就

現世の願いに強く応えるとされてきた。

歓喜天に会える寺

歓喜天を祀る寺は「◯◯聖天」の通称を持つことが多く、生駒聖天(宝山寺)、待乳山聖天(本龍院)、妻沼聖天山(歓喜院)などが知られます。

ただし、これらの寺の公式の情報を今回の調査で確かめることができませんでした。確かめられないまま欄に並べることはしていません。

文化庁の国指定文化財等データベースを彫刻の分野で検索した結果、確かめられたのは宝戒寺の木造歓喜天立像(重要文化財)一件です。欄が短いのは、確かめられたものがそれだけだったからです。

宝戒寺(ほうかいじ)

重要文化財

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宝戒寺の住所:神奈川県(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)

像:木造歓喜天立像/重要文化財

この像に結び付く願い:所願成就

文化庁の国指定文化財等データベースで、彫刻の分野に登録されている歓喜天の重要文化財です。所有者は宝戒寺と記録されています。

歓喜天の像で国の指定を受けているものは非常に少なく、この一件を確かめられたにとどまります。

公開されているかどうかは、この調査では確かめられませんでした。参拝の前に寺へ問い合わせることをお勧めします。

鎌倉にある天台宗の寺。

歓喜天をめぐる仏のつながり

歓喜天の位階と、似た仏との違い

歓喜天は天部に置かれます。インドの神が仏教に取りこまれたものです。

天部のなかでは、助けにも障りにもなるという両義的な性格が際立ちます。祀るには作法が求められ、扱いの難しい仏とされてきました。

密教のなかで信仰され、真言宗と天台宗の寺に祀られます。

普賢菩薩 ─ 象に乗るか、頭が象か

普賢菩薩は白象に乗ります。頭は人のものです。

歓喜天は頭そのものが象です。乗り物には乗りません。

身なりも違い、普賢菩薩は宝冠と瓔珞を着けて合掌します。

帝釈天 ─ 同じく象に乗る

帝釈天も白象に乗ります。顔は一つで、人のものです。

頭が象かどうかを見れば、迷うことはありません。

十一面観音 ─ 歓喜天を味方に変えた仏

歓喜天の双身像で、抱き止める側の女天は十一面観音が姿を変えたものとされます。

二体は由来のうえでつながっています。十一面観音は菩薩、歓喜天は天部で、位階は異なります。

歓喜天についてよくある質問

歓喜天はどんな仏ですか。

象の頭と人の体を持つ天部です。聖天とも呼ばれます。男女二体が抱き合う双身像で表されることが多く、日本では篤く信仰されてきました。

なぜ二体が抱き合っているのですか。

この仏がもとは仏法を妨げる神であり、十一面観音が女身に姿を変えて抱き止め、味方に転じさせたという由来を表すとされます。

歓喜天の像は見られますか。

ほとんどが厨子に納められた秘仏で、公開されません。住職ですら開けないという寺もあります。

「聖天」は何と読みますか。

「しょうてん」と読みます。「せいてん」ではありません。

歓喜天に大根を供えるのはなぜですか。

大根が歓喜天への供物とされてきたためです。寺の紋に二本の大根を組み合わせた意匠を用いる例があります。

歓喜天と併せて覚えたい言葉・用語

聖天(しょうてん)

歓喜天の通称。「せいてん」とは読まない。

双身像(そうしんぞう)

二体が向かい合って抱き合う形の像。

歓喜団(かんぎだん)

油で揚げた菓子。歓喜天への供物とされる。

厨子(ずし)

仏像を納める箱形の入れ物。秘仏はこの中に納められる。

象頭人身(ぞうずにんしん)

象の頭と人の体を持つ姿。