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天部

明星天(みょうじょうてん)|明星天子とはどんな仏か|見分け方・ご利益

明星天子  / ミョウジョウテン

救済 密教

明けの明星をそのまま尊格としたもの。虚空蔵菩薩の行と結びつく。

明星天とはどんな仏か

明星天をひとことで言えば金星をかたどった尊格です。夜明け前に東の空へのぼる明けの明星を、そのまま尊格としたものです。

密教の曼荼羅では、中心から遠い外側の院に、日天・月天・二十八宿などと並べて置かれます。星や天体をつかさどる尊格を、まとめて外に配する考え方によります。

日本でこの名がよく知られるのは、虚空蔵求聞持法という行との結びつきによります。真言を百万遍となえ終えたとき、明星が口に入った、あるいは明星が現れて印可を示した、という形で語られてきました。

姿の決まりは弱く、唐風の衣をまとった人の形で、手に星を載せた盤や蓮華を持つと説かれます。冠に星をつける例もあります。

明星天の読み方と梵名

読みは「みょうじょうてん」です。正式には「明星天子」と呼びます。

「明星」は夜明け前に東の空にのぼる金星のことです。「天子」は天に住む者を敬って呼ぶ語で、日天子・月天子と同じ使い方です。

同じ星でも、北極星をかたどったものは妙見菩薩です。明星天は金星で、指す星が違います。 取り違えやすいところです。

明星天(みょうじょうてん)

短く呼ぶ形。

明星天子(みょうじょうてんし)

「天子」を添えた正式な形。

明星天女(みょうじょうてんにょ)

女性の姿とする伝えによる形。

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)

同じものとする説がある。別の記事を参照。

シュクラ(Sukra)

意味は「輝くもの」。インドで金星を指す語とされる。明星天子に対応する梵名は一定していない。読みは「しゅくら」。

明星天の見分け方(印相・持ち物・姿)

星を載せた盤か、星をつけた冠。星のしるしが姿の決め手です。

持ち物 ─ 星を載せる

手のひらに丸い盤を捧げ、その上に星を表す玉を載せる形が説かれます。

蓮華の上に星を置く形もあります。星そのものを持ち物にする点が、この尊格の目印です。

武器を持ちません。星の運行を示す尊格であって、戦う尊格ではないからです。

身なり ─ 唐風の衣

甲を着けず、袖の広い唐風の衣をまといます。

男性の姿とする図と、女性の姿とする図があり、天女として描かれるものは明星天女と呼ばれます。

冠をかぶり、その正面に星のしるしをつける例もあります。

置かれる場所 ─ 曼荼羅の外

曼荼羅では、中心の如来から数えていちばん外の院に置かれます。

日天・月天・二十八宿・七曜といった、空の動きをつかさどる尊格の列に並びます。

星の尊格が外に置かれるのは、格が低いからではなく、世の外周を巡る役だからです。

虚空蔵菩薩との結びつき

虚空蔵求聞持法という行では、真言を百万遍となえ終えたときに明星が現れるとされます。

明星が現れることが、行が成ったしるしとされました。

そのため明星天を虚空蔵菩薩と重ねて説く伝えがありますが、同じものとするか別のものとするかは、書き手によって分かれます。

明星天のご利益

記憶を確かにする

虚空蔵求聞持法と結びつくことによる。

学びの成就

行の成就を示すしるしとされることによる。

夜道の守り

明け方の空にのぼる星であることによる。

明星天に会える寺

明星天を安置する堂は、確かめられませんでした。

文化庁の国指定文化財等データベースで「明星天」を引いても、国指定の彫刻は見あたりません。曼荼羅に描かれる尊格で、堂に据える像として彫られなかったためと考えられます。

会いたい場合は、曼荼羅の外側の院を探すことになります。 ただし外側の院は細かく小さく描かれる部分で、名を知らなければ見落とします。虚空蔵菩薩を本尊とする堂で、この行の由緒が語られることもあります。

明星天をめぐる仏のつながり

化身・同じ経典 三尊・脇侍・眷属 対になる仏 混同・見分け

明星天の位階と、似た仏との違い

明星天は天部の位に置かれます。星をつかさどる尊格の一つです。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。明星天は天部にあたります。

天部のなかでは空の動きをつかさどる組に入ります。日天・月天・二十八宿・七曜などと同じ列です。

星や日月をそのまま尊格として数える見方は、インドから中国を経て日本へ伝わりました。 妙見菩薩のように菩薩の位に置かれたものもあります。

妙見菩薩 ─ どちらも星の尊格

どちらも星をかたどった尊格です。

見分けは指す星と位階です。妙見菩薩は北極星で菩薩の位、明星天は金星で天部の位です。妙見菩薩は像が各地に残り、明星天は絵にとどまります。

虚空蔵菩薩 ─ 同じ行のなかで結びつく

虚空蔵求聞持法では、明星が現れることが行の成就のしるしとされます。

虚空蔵菩薩は宝冠をかぶり、剣と宝珠を持つ菩薩です。明星天と同じものとする説もありますが、決着していません。

日天 ─ 同じく空の尊格

どちらも空の光をつかさどる尊格で、曼荼羅では近い場所に置かれます。

見分けは持ち物です。日天は日輪、明星天は星を持ちます。 日天は十二天の一つに数えられ、像や絵が多く残ります。

明星天についてよくある質問

明星天とは何ですか。

夜明け前に東の空へのぼる金星、すなわち明けの明星をそのまま尊格としたものです。正式には明星天子と呼びます。

妙見菩薩と同じですか。

違います。妙見菩薩は北極星、明星天は金星をかたどったもので、指す星が違います。位階も妙見菩薩は菩薩、明星天は天部です。

虚空蔵菩薩とどう関わりますか。

虚空蔵求聞持法という行で、真言を百万遍となえ終えたときに明星が現れることが成就のしるしとされます。同じものとする説もありますが決着していません。

明星天の像はありますか。

確かめられませんでした。文化庁の国指定文化財等データベースでも、この名を持つ国指定の彫刻は見あたりません。

明星天はどう見分けますか。

手のひらの盤や蓮華の上に星を載せる形、あるいは冠の正面に星のしるしをつける形です。甲も武器も着けません。

明星天と併せて覚えたい言葉・用語

明星(みょうじょう)

夜明け前に東の空にのぼる金星。

虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)

真言を百万遍となえる行。記憶が確かになるとされる。

天子(てんし)

天に住む者を敬って呼ぶ語。

二十八宿(にじゅうはっしゅく)

空を二十八に分けた星の区画。