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天部

婆藪仙(ばすせん)|婆藪仙人とはどんな仏か|見分け方・ご利益

婆藪仙人  / バスセン

救済 インド由来

骨の浮いた老いた仙人の姿で、千手観音の脇に立つ。

婆藪仙とはどんな仏か

婆藪仙をひとことで言えば痩せこけた老いた仙人です。千手観音を守る二十八部衆の一員に数えられます。

仏でも菩薩でもありません。インドで行を積んだ人が、そのまま守り手の列に加えられた例にあたります。

見分けは容易です。二十八部衆のなかでただ一人、甲も武器も持たず、骨の浮いた老人の姿で立ちます。 頭ははげ上がり、眉と髭が長く垂れ、背は曲がり、両手で経巻を捧げ持つか杖にすがります。

供養の作法をめぐって過ちを犯した仙人が、のちに仏の教えに帰依したという筋の伝えが知られますが、細かいところは伝えによって異なります。功徳天と一対にされ、老いと若さを向かい合わせる並べ方をされることもあります。

婆藪仙の読み方と梵名

読みは「ばすせん」です。「ばそうせん」ではありません。

「婆藪」は梵語を音で写した字で、字そのものに意味はありません。「仙」は山にこもって行を積む人を指します。

仙人という語は、もとは中国の考え方に属する言葉です。 インドの行者を写すのにこの字が当てられ、そのまま尊格の名になりました。

婆藪仙(ばすせん)

もっとも広く使われる形。

婆藪仙人(ばすせんにん)

「仙人」を添えた形。

婆薮仙(ばすせん)

中の字を「薮」と書く形。

婆数仙(ばすせん)

古い写しに見える形。

ヴァス(Vasu)

意味は「善きもの」。インドで富や善を指す語とされる。婆藪仙に対応する梵名の解き方には諸説がある。読みは「う゛ぁす」。

婆藪仙の見分け方(印相・持ち物・姿)

甲も武器もない、骨の浮いた老人。二十八部衆のなかで、この姿はほかにありません。

体 ─ 骨が浮く

肋骨が一本ずつ数えられるほど痩せた身体に彫られます。腕は細く、腹はくぼみます。

厳しい行を積んだことを、肉の落ちた身体でそのまま示す彫り方です。

豊かに整えられた菩薩や、甲で身を固めた天部と並ぶことで、この痩せ方がいっそう際立ちます。

顔 ─ 長い眉と髭

頭ははげ上がり、額に深い皺が刻まれます。眉と髭は白く長く垂れます。

目は落ちくぼみ、頬骨が張り出します。

老いを隠さずに彫るという点で、十大弟子の摩訶迦葉と同じ流れにあります。

持ち物 ─ 経巻か杖

両手で経巻を捧げ持つ姿と、杖にすがって立つ姿があります。

武器も法具も持ちません。 甲も着けません。

二十八部衆のうち、武具を持たない数少ない一体です。 この一点だけで、列のなかから見つけ出せます。

功徳天との対

若く豊かな姿の功徳天と、向かい合わせに置かれることがあります。

老いと若さ、痩せと豊かさを一対にする並べ方です。

同じ組み立ては、十大弟子の摩訶迦葉と阿難にも見られます。日本の彫刻が好んだ対比の作り方です。

婆藪仙のご利益

長寿

老いた仙人の姿であることによる。

過ちを悔いる

過ちを犯したのち帰依したという伝えによる。

学びの成就

経巻を捧げ持つ姿による。

婆藪仙に会える寺

婆藪仙だけを祀る堂は、確かめられませんでした。 二十八部衆の一員として会うことになります。

文化庁の国指定文化財等データベースで「婆藪仙」を引いても、この名を持つ国指定の彫刻は見あたりません。指定名称はすべて「木造二十八部衆立像」のようにまとめた形で、個々の名は記されていないためです。

二十八部衆の像は、京都の蓮華王院本堂(所有者は妙法院)に国宝の二十八躯、滋賀の常楽寺に重要文化財の二十八躯が伝わります。その列のなかから、痩せた老人の姿を探すことになります。

婆藪仙をめぐる仏のつながり

化身・同じ経典 三尊・脇侍・眷属 対になる仏 混同・見分け

婆藪仙の位階と、似た仏との違い

婆藪仙は天部の位に置かれます。ただし、もとは人であったとされる尊格です。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。婆藪仙は二十八部衆の一員として天部に置かれます。

ただしもとは行を積んだ人とされ、生まれながらの天部ではありません。人が守り手の列に加えられた点で、役行者や高僧の像に近い性格を持ちます。

天部の列には、こうした「もと人だった者」がまじっています。

二十八部衆 ─ 婆藪仙を含む群れ

二十八部衆は千手観音を守る二十八体で、婆藪仙はその一員です。

列のなかで、甲も武器も持たない痩せた老人はこの一体だけです。ほかは甲を着けるか、楽器や武具を持ちます。

摩訶迦葉 ─ どちらも痩せた老人

どちらも頬のこけた老いた姿に彫られます。

見分けは身なりと置かれ方です。摩訶迦葉は頭を丸め袈裟をまとった僧で、釈迦如来の脇に立ちます。婆藪仙は髭を長く垂らした俗形で、千手観音の列に並びます。

役行者 ─ どちらも行者の姿

どちらも行を積んだ人が尊格として彫られたものです。

見分けは持ち物です。役行者は一本歯の下駄をはき、頭巾をかぶり、二匹の鬼を従えます。 婆藪仙に鬼は従いません。

婆藪仙についてよくある質問

婆藪仙とは何ですか。

千手観音を守る二十八部衆の一員に数えられる、インドの仙人の姿をとる尊格です。骨の浮いた老人の姿で立ちます。

婆藪仙の読み方は。

「ばすせん」です。「婆藪」は梵語を音で写した字で、字そのものに意味はありません。

婆藪仙はどう見分けますか。

二十八部衆のなかでただ一人、甲も武器も持たず、痩せて骨の浮いた老人の姿で立ちます。両手で経巻を捧げるか、杖にすがります。

婆藪仙の像はどこで見られますか。

単独で祀る堂は確かめられませんでした。京都の蓮華王院本堂や滋賀の常楽寺に伝わる二十八部衆像の列のなかから探すことになります。

なぜ仙人が仏を守るのですか。

過ちを犯した仙人がのちに仏の教えに帰依した、という筋の伝えによります。害をなす者が守り手に変わるという組み立ては、夜叉や羅刹にも共通します。

婆藪仙と併せて覚えたい言葉・用語

二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)

千手観音を守るとされる二十八体。

功徳天(くどくてん)

二十八部衆の一員。婆藪仙と対にされる。

仙人(せんにん)

山にこもって行を積む人。

俗形(ぞくぎょう)

僧ではない身なり。