二体の毘沙門天が背中合わせに合わさった、ひとつの像。
双身毘沙門天とはどんな仏か
双身毘沙門天の読み方と梵名
読みは「そうしんびしゃもんてん」です。「ふたみ」ではありません。
「双身」は身体が二つあることを指します。二体が並ぶのではなく、背中で一つにつながっている点が要です。
同じ「双身」の語は、歓喜天のように二体が向かい合って抱く形にも使われます。背中合わせか向かい合わせかで、指すものが変わります。
双身毘沙門天(そうしんびしゃもんてん)
もっとも広く使われる形。
双身毘沙門(そうしんびしゃもん)
「天」を外した形。
双身法(そうしんほう)
この尊格を本尊として行う法の名。
双身毘沙門天王(そうしんびしゃもんてんのう)
「王」を添えた形。
双身毘沙門天の見分け方(印相・持ち物・姿)
回り込むともう一つの顔がある。これが双身毘沙門天の唯一にして決定的な目印です。
身体 ─ 背中でつながる
二体の毘沙門天が背を合わせ、腰から下を一つに彫り出します。
正面から見ただけでは、ふつうの毘沙門天と区別がつきません。 側面や背面に回って初めて分かります。
堂で拝むとき、像の後ろに回れないことが多いため、由緒書きで知るほかない場合もあります。
持ち物 ─ 一体ずつは通常どおり
足もと ─ 一体の邪鬼を二体で踏む
台座には一体の邪鬼が置かれ、二つの身体がそれを踏みます。
邪鬼が一体しかないことで、二体が一つの像であることが示されます。
邪鬼を二体置く例もありますが、多くはありません。
なぜ人目に触れないのか
この姿を本尊とする法は、秘して修されるものとされてきました。
そのため像は厨子に納められ、開かれる日が限られます。写しや図像集の記述も乏しくなります。
作例が少ないのは、作られなかったからだけでなく、表に出されなかったからでもあります。
双身毘沙門天のご利益
財を守る
毘沙門天が財をつかさどるとされることによる。
災いを払う
前後の両方を守るとされることによる。
願いを叶える
秘して修される法の本尊とされたことによる。
双身毘沙門天に会える寺
双身毘沙門天を安置する堂は、確かめられませんでした。
文化庁の国指定文化財等データベースで「双身毘沙門天」を引いても、国指定の彫刻は見あたりません。秘して伝えられ、表に出されなかったためと考えられます。
秘仏として厨子に納められている像は、開かれる日が決まっています。 拝観できるかどうかは、必ず寺の案内で確かめてください。常に見られるものではありません。
双身毘沙門天をめぐる仏のつながり
双身毘沙門天の位階と、似た仏との違い
双身毘沙門天は天部の位に置かれます。毘沙門天の変わった姿の一つです。
仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。双身毘沙門天は毘沙門天の一つの形なので、天部にあたります。
毘沙門天には、四天王の一体としての姿、単独で立つ姿、兜跋・刀八・双身・泥足といった変わった姿があります。双身はそのうち、身体の数を増やした形です。
持ち物を増やす刀八、支えを加える兜跋、由緒で名が付く泥足と並べると、変わり方の道筋が四通りあることが見えてきます。
歓喜天 ─ 同じく二体で一体
どちらも二体が組み合わさった姿で、どちらも秘して祀られます。
見分けは組み方です。歓喜天は象の頭を持つ二体が向かい合って抱きます。双身毘沙門天は背中合わせです。
毘沙門天 ─ もとになる姿
ふつうの毘沙門天は一体で立ち、鉾と宝塔を持ち、邪鬼を踏みます。
正面から見るかぎり、双身毘沙門天との違いはありません。 背面に回れるかどうかが、見分けの分かれ目になります。
双身毘沙門天についてよくある質問
双身毘沙門天とは何ですか。
二体の毘沙門天が背中合わせに合わさり、ひとつの像になったものです。正面から見ると一体に見えます。
どう見分けますか。
像の背面に回ることです。もう一つの顔と身体が現れれば双身毘沙門天です。正面からは通常の毘沙門天と区別がつきません。
なぜ秘仏として扱われるのですか。
この姿を本尊とする法が、秘して修されるものとされてきたためです。像は厨子に納められ、開かれる日が限られます。
歓喜天と似ていますか。
どちらも二体が組み合わさりますが、歓喜天は象の頭を持つ二体が向かい合って抱く形で、双身毘沙門天は背中合わせです。
双身毘沙門天の像はありますか。
確かめられませんでした。文化庁の国指定文化財等データベースでも、この名を持つ国指定の彫刻は見あたりません。
双身毘沙門天と併せて覚えたい言葉・用語
双身(そうしん)
身体が二つあること。
厨子(ずし)
仏像を納める扉付きの箱。
秘仏(ひぶつ)
ふだんは扉を閉じて見せない仏像。
邪鬼(じゃき)
毘沙門天が足の下に踏む小さな鬼。