毘沙門天の命を受けて働く二十八の使い。二十八部衆とは別のもの。
毘沙門天二十八使者とはどんな仏か
毘沙門天二十八使者の読み方と梵名
読みは「びしゃもんてんにじゅうはちししゃ」です。
「使者」は、主の命を受けて遣わされる者を指します。眷属という語より、送り出される役であることがはっきり出た言い方です。
二十八という数が同じであるために、千手観音の二十八部衆と混ざります。「使者」か「部衆」かで区別してください。 主も役目も別のものです。
毘沙門天二十八使者(びしゃもんてんにじゅうはちししゃ)
もっとも広く使われる形。
二十八使者(にじゅうはちししゃ)
短く呼ぶ形。
毘沙門天使者(びしゃもんてんししゃ)
数を外した形。
二十八部衆(にじゅうはちぶしゅう)
取り違えやすい別のもの。別の記事を参照。
毘沙門天二十八使者の見分け方(印相・持ち物・姿)
まとまった像がありません。 名と役目が経典に記されるだけの、文字の上の群れです。
役目 ─ 遣わされる者
毘沙門天のもとから送り出され、願いを聞き、災いを退けるとされます。
財を運ぶ者、病を退ける者、道を守る者というように、役目ごとに分けて説かれます。
守る場所に立つのではなく、出かけていく点が「使者」という語に表れています。
名が定まらない
二十八の顔ぶれは、よりどころとする伝本によって食い違います。
同じ経典でも、写された本によって名が入れ替わります。
そのため、この記事では一覧を挙げません。挙げれば、どれか一つの伝本の並びを唯一のものとして示すことになるからです。
二十八部衆との違い
千手観音を守る二十八部衆とは、主が違います。
二十八部衆は千手観音に従い、像がそろって伝わります。二十八使者は毘沙門天に属し、像がありません。
数が同じであることは偶然と考えられ、直接のつながりを示す記述は確かめられませんでした。
毘沙門天二十八使者のご利益
財を招く
財を運ぶ使者が説かれることによる。
病を退ける
病を退ける使者が説かれることによる。
旅の安全
道を守る使者が説かれることによる。
毘沙門天二十八使者に会える寺
毘沙門天二十八使者を安置する堂は、確かめられませんでした。
文化庁の国指定文化財等データベースで「二十八使者」を引いても、国指定の彫刻は見あたりません。修法の次第書きや図像集に名が記されるだけで、像として作られなかったためです。
同じ数の二十八部衆であれば、京都の蓮華王院本堂(所有者は妙法院)に国宝の二十八躯、滋賀の常楽寺に重要文化財の二十八躯が伝わります。 ただしこれは千手観音に従う別の群れです。取り違えないでください。
毘沙門天二十八使者をめぐる仏のつながり
毘沙門天二十八使者の位階と、似た仏との違い
毘沙門天二十八使者は天部の位に置かれます。毘沙門天に従う群れです。
仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。毘沙門天二十八使者は天部にあたります。
天部のなかでは主に従って働く側です。毘沙門天が主で、この二十八体はその命を受けます。
天部には、主を持つ群れがいくつもあります。十二神将は薬師如来に、二十八部衆は千手観音に、この二十八使者は毘沙門天に属します。
二十八部衆 ─ 数が同じで主が違う
どちらも二十八体の群れです。
二十八部衆は千手観音に従い、像が二十八躯そろって伝わります。二十八使者は毘沙門天に属し、像がありません。 名も顔ぶれも別です。
八大夜叉大将 ─ どちらも毘沙門天の眷属とされる
どちらも毘沙門天に属するとする説があります。
見分けは数と役目です。八大夜叉大将は八体で場を固め、二十八使者は二十八体で遣わされます。 どちらも像がほとんど残りません。
毘沙門天 ─ 遣わす側
毘沙門天が主で、二十八使者はその命を受けて働きます。
見分けは容易です。毘沙門天は甲を着け、鉾と宝塔を持ち、邪鬼を踏んで単独で立ちます。 二十八使者は像として立ちません。
毘沙門天二十八使者についてよくある質問
毘沙門天二十八使者とは何ですか。
毘沙門天の命を受け、願いを聞き災いを退けるために遣わされるとされる二十八体です。毘沙門天を説く経典の一群に見えます。
二十八部衆と同じですか。
別のものです。二十八部衆は千手観音に従う列で像がそろって伝わりますが、二十八使者は毘沙門天に属し、像がありません。
二十八の名前は決まっていますか。
決まっていません。伝本によって顔ぶれが食い違うため、一覧を確かなものとして示すことができません。
二十八使者の像はありますか。
確かめられませんでした。文化庁の国指定文化財等データベースでも、この名を持つ国指定の彫刻は見あたりません。
どんな願いを受けるのですか。
財を運ぶ者、病を退ける者、道を守る者というように、役目ごとに分けて説かれます。
毘沙門天二十八使者と併せて覚えたい言葉・用語
使者(ししゃ)
主の命を受けて遣わされる者。
眷属(けんぞく)
主に従って働く者たち。
次第書き(しだいがき)
修法の手順を記した書。
伝本(でんぽん)
書き写されて伝わった本。写しごとに違いが出る。