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天部

三宝荒神(さんぼうこうじん)とはどんな仏か|見分け方とご利益

三宝荒神  / サンボウコウジン

守護 インド由来

台所の火を守る神。三つの顔と六本の腕を持つ。

三宝荒神とはどんな仏か

三宝荒神をひとことで言えば竈の神です。台所の火を守ります。

名の「三宝」は、仏・法・僧の三つを指します。仏教でもっとも大事とされる三つで、それを守るという意味で三宝荒神と呼ばれます。

日本で生まれた尊格で、インドの経典には出てきません。日本にもとからあった竈の神への信仰と、仏教の護法神が結びついてできたものと考えられます。

姿は語感を裏切ります。三つの顔と六本の腕を持ち、いずれの顔も忿怒の相をとります。髪を逆立て、手に剣・輪・杵などを握ります。

台所の穏やかな神という語感とは裏腹に、姿は明王に近い激しさです。

清らかでない場所を嫌い、火で不浄を焼くとされます。この点は烏枢沙摩明王と重なります。

兵庫の清荒神清澄寺が広く知られます。京都の来迎院と長野の蓮香寺には、重要文化財の荒神坐像が伝わります。

三宝荒神の読み方と梵名

読みは「さんぼうこうじん」です。略して「こうじん」ともいいます。

「三宝」は仏・法・僧の三つを指します。仏教でもっとも大事とされる三つです。

「荒神」は荒ぶる神という意味です。穏やかに祀れば福をもたらし、粗末に扱えば災いを招く。 この二面性が名に表れています。

日ごろは「こうじんさま」と呼ばれ、台所に札を貼る習わしが各地に残ります。

三宝荒神(さんぼうこうじん)

もっとも広く使われる形。

荒神(こうじん)

略した形。文化財の名称にも使われる。

こうじんさま(こうじんさま)

日ごろの言い方。

竈神(かまどがみ)

台所の神としての呼び方。

如来荒神(にょらいこうじん)

三種の荒神のひとつ。

アグニ(Agni)

意味は「火」。インドの火の神。ただし三宝荒神は日本で生まれた尊格のため、これに対応する原語は確かめられなかった。読みは「あぐに」。

三宝荒神の見分け方(印相・持ち物・姿)

三宝荒神の見分けは、三つの顔と六本の腕にあります。台所の神という語感からは想像しにくい、激しい姿です。

顔 ─ 三つとも忿怒の相

三つの顔を持ちます。正面と左右で、いずれも忿怒の相をとります。

目を見開き、牙をむき、髪を火焔のように逆立てます。

台所の神という語感からは、この激しさは想像しにくいものです。 荒ぶる神を鎮めて味方につけるという考え方が、姿にそのまま出ています。

腕 ─ 六本に法具

腕は六本が標準です。剣・輪・杵・弓・矢などを握ります。

八本や二本の作例もあり、一定しません。

明王に近い姿ですが、位階は天部の枠に置かれます。 姿と分類が食い違う例のひとつです。

祀られる場所 ─ 台所

台所の竈の上に祀られます。

札を貼る形がもっとも多く、小さな像を置く家もあります。

火を扱う場所を守るという役目から、火事を防ぐ神としても信仰されました。 烏枢沙摩明王が便所を守るのと並び、生活の場に祀られる尊格です。

三種の荒神

荒神には三つの種類があるとされます。

如来荒神・麁乱荒神・忿怒荒神の三つです。三宝荒神はこのうち如来荒神にあたるとする説があります。

ただしこの分類は文献によって揺れ、はっきり定まっていません。 日本で生まれた尊格ゆえの曖昧さです。

三宝荒神のご利益

火伏せ

台所の火を守ることによる。

家内安全

家の中心である竈を守ることによる。

厄除け

不浄を焼き清める働きによる。

商売繁盛

近世以降、福の神としても祀られた。

三宝荒神に会える寺

三宝荒神の彫刻で国の指定を受けたものは、数がきわめて限られます。文化庁の国指定文化財等データベースで「荒神」を検索して確かめられたのは、京都の来迎院と長野の蓮香寺の二件だけでした。

一方で、台所に貼る札としては全国に広まっています。兵庫の清荒神清澄寺は、その札を受けに訪れる参拝者で知られます。

像として拝むより、札として家に迎える形で続いてきた尊格です。 烏枢沙摩明王と同じく、生活の場に祀られる仏には古い像が残りにくいという事情もあります。

清荒神清澄寺(きよしこうじんせいちょうじ)

国指定の彫刻は確かめられませんでした

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清荒神清澄寺の住所:兵庫県宝塚市米谷字清シ1番地

像:三宝荒神王(本堂とは別に荒神を祀る)

この像に結び付く願い:火伏せ

三宝荒神を祀る寺として、全国でもっとも広く知られます。真言三宝宗の大本山です。

台所の神として、竈の札を受けに訪れる参拝者が絶えません。

本尊の像について、国の指定と詳しい内容は確かめられませんでした。 所在地は公式サイトで確かめています。

所在地は清荒神清澄寺の公式サイトで確かめた。

来迎院 荒神堂(らいごういん こうじんどう)

重要文化財

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来迎院 荒神堂の住所:京都府(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)

像:木造荒神坐像(荒神堂安置)一躯/重要文化財

この像に結び付く願い:厄除け

荒神を祀るために建てられた堂で、名がそのまま「荒神堂」です。

文化庁の国指定文化財等データベースで、所有者が来迎院と記されています。

荒神の彫刻で国の指定を受けたものは数が少なく、この一躯はその貴重な例です。

所有者は文化庁の国指定文化財等データベースで確認した。

蓮香寺 荒神堂(れんこうじ こうじんどう)

重要文化財

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蓮香寺 荒神堂の住所:長野県(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)

像:木造伝子安荒神坐像(荒神堂安置)一躯/重要文化財

この像に結び付く願い:家内安全

文化庁の国指定文化財等データベースで、所有者が蓮香寺と記されています。

名称に「伝子安荒神」とあり、子を守る荒神として伝えられてきたことがわかります。「伝」の字は、そう伝えられているが確かめられていないことを示します。

荒神が子安、つまり安産と結びついた例です。

所有者は文化庁の国指定文化財等データベースで確認した。

三宝荒神をめぐる仏のつながり

三宝荒神の位階と、似た仏との違い

三宝荒神は天部の枠に置かれます。ただしこれは便宜の分類です。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。三宝荒神はこのどれにも、はっきりとは当てはまりません。

日本で生まれた尊格で、インドの経典に根拠を持ちません。日本の竈の神への信仰と、仏教の護法神が結びついてできたものと考えられます。

姿は明王に近いものですが、仏法を守るという役目から天部の枠に入れて扱われます。位階の分類は便宜のものです。

烏枢沙摩明王 ─ 生活の場を守る者どうし

どちらも、堂の本尊ではなく生活の場に祀られます。三宝荒神は台所、烏枢沙摩明王は便所です。

火で不浄を焼くという働きも共通します。

どちらも国指定の彫刻がきわめて少ないのは、この祀られ方によります。 大切に守られる本尊ではなく、身近に置かれる仏だったからです。

大黒天 ─ どちらも台所に祀られた

どちらも台所と結びつきます。大黒天は、寺の食事をまかなう厨房の守り神とされました。

姿はまったく違います。 大黒天は頭巾をかぶり打出の小槌を持つ穏やかな福の神、三宝荒神は三つの顔と六本の腕を持つ忿怒の姿です。

同じ場所を守りながら、片や福の神、片や荒ぶる神。日本の台所には二通りの神がいたことになります。

青面金剛 ─ 日本で整えられた尊格どうし

どちらも日本で整えられた尊格で、生活の場に祀られました。

姿も似ています。どちらも忿怒の相をとり、腕を多く持ちます。

見分けは足もとです。青面金剛は三猿を伴います。 三宝荒神に三猿は伴いません。

三宝荒神についてよくある質問

三宝荒神とはどんな仏ですか。

台所の火を守る神です。名の「三宝」は仏・法・僧の三つを指し、それを守るという意味で三宝荒神と呼ばれます。

三宝荒神はどう見分けますか。

三つの顔と六本の腕を持ち、いずれの顔も忿怒の相をとります。台所の神という語感とは裏腹に、明王に近い激しい姿です。

なぜ台所に祀るのですか。

火を扱う場所を守るためです。清らかでない場所を嫌い、火で不浄を焼くとされます。竈の上に札を貼る習わしが各地に残ります。

荒神には種類がありますか。

如来荒神・麁乱荒神・忿怒荒神の三種があるとされます。ただしこの分類は文献によって揺れ、はっきり定まっていません。

三宝荒神の像はどこで見られますか。

京都の来迎院、長野の蓮香寺に重要文化財の荒神坐像があります。兵庫の清荒神清澄寺が広く知られますが、本尊の像について国の指定は確かめられませんでした。

三宝荒神と併せて覚えたい言葉・用語

三宝(さんぼう)

仏・法・僧の三つ。仏教でもっとも大事とされる。

竈(かまど)

火を焚いて煮炊きをする設備。三宝荒神を祀る場所。

荒神(こうじん)

荒ぶる神。鎮めれば福をもたらし、粗末にすれば災いを招く。

如来荒神(にょらいこうじん)

三種の荒神のひとつ。三宝荒神をこれにあてる説がある。