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天部

那羅延天(ならえんてん)とはどんな仏か|見分け方・ご利益

那羅延天  / ナラエンテン

守護 インド由来

並ぶもののない力を持つ天部。仁王の一方にその名が残る。

那羅延天とはどんな仏か

那羅延天をひとことで言えば怪力の神です。インドの神ヴィシュヌを出自とします。

この天部の特徴は、力の強さをもっぱらとすることです。「那羅延力」といえば、人並み外れた怪力を指す言葉になりました。経典では、象の何倍もの力を持つと説かれます。

日本でこの名がもっともよく残っているのは、仁王の呼び分けです。

寺の門に立つ金剛力士の二体を、那羅延堅固と密迹金剛と呼ぶことがあります。口を開けた阿形が那羅延堅固、口を結んだ吽形が密迹金剛にあたるとされます。

つまり、寺の門をくぐるたびにこの名の一方の前を通っていることになります。

ただし単独の像はほとんど造られませんでした。国指定の彫刻も確かめられませんでした。

姿は三つの顔と八本の腕を持ち、迦楼羅に乗る形が経典に説かれますが、日本では曼荼羅の中に描かれるだけです。

那羅延天の読み方と梵名

読みは「ならえんてん」です。

「那羅延」は梵名ナーラーヤナの音を漢字に写したもので、字そのものに意味はありません。ナーラーヤナはヴィシュヌの別名です。

「那羅延力」という言葉は、人並み外れた怪力を指します。仏の名が力の単位のように使われた例です。

寺の門の仁王を呼び分けるとき、阿形を那羅延堅固と呼びます。「堅固」は堅く固いという意味です。

那羅延天(ならえんてん)

もっとも広く使われる形。

那羅延金剛(ならえんこんごう)

金剛力士の一方としての呼び方。

那羅延堅固(ならえんけんご)

仁王の阿形を指す呼び方。

毘紐天(びちゅうてん)

梵名ヴィシュヌの音を漢字に写した形。

ナーラーヤナ(Narayana)

意味は「人の子」。ヴィシュヌの別名。「那羅延」はこの音を漢字に写したもの。読みは「なーらーやな」。

那羅延天の見分け方(印相・持ち物・姿)

那羅延天の見分けは、寺の門の仁王を見るのが実際的です。単独の像はほとんどありません。

仁王の一方として

寺の門に立つ金剛力士の二体を、那羅延堅固と密迹金剛と呼び分けることがあります。

口を開けた阿形が那羅延堅固、口を結んだ吽形が密迹金剛にあたるとされます。

門をくぐるたびに、この名の一方の前を通っていることになります。 ただしこの呼び分けを掲げる寺は多くなく、単に仁王・金剛力士と呼ぶのがふつうです。

姿 ─ 経典に説かれる形

経典では、三つの顔と八本の腕を持ち、迦楼羅に乗ると説かれます。

迦楼羅は竜を食う金色の大鳥です。インドでヴィシュヌ神の乗り物とされたことが、そのまま受け継がれています。

しかし日本では、この姿の像がほとんど造られませんでした。 曼荼羅の中に小さく描かれるだけです。

力の象徴として

この天部の性格は、力の強さに尽きます。

「那羅延力」は人並み外れた怪力を指す言葉になりました。経典では、象の何倍もの力を持つと説かれます。

仏の体に備わる特徴のひとつとして「那羅延身」を挙げる経典もあり、仏そのものの力強さを表す物差しとして使われました。

なぜ像が少ないのか

国指定の那羅延天の彫刻は確かめられませんでした。理由はいくつか考えられます。

ひとつは、この天部を本尊とする修法が無かったことです。修法があれば本尊の像が要りますが、それがありませんでした。

もうひとつは、力の強さという性格が金剛力士に吸収されたことです。同じ働きを持つ尊格がすでに門に立っていれば、別に像を造る理由がありません。

那羅延天のご利益

力を得る

那羅延力という言葉にちなむ。

身体健全

力の強さを本領とすることによる。

厄除け

仁王として門を守ることによる。

寺の守り

金剛力士の一方とされることによる。

那羅延天に会える寺

那羅延天の像で、国が指定したものは確かめられませんでした。 文化庁の国指定文化財等データベースで「那羅延」を検索しても、該当がありません。

この天部に会うには、寺の門の仁王を見ることになります。金剛力士の二体のうち、口を開けた阿形が那羅延堅固にあたるとされます。

ただしこの呼び分けを掲げる寺は多くなく、文化財の登録名もすべて「金剛力士立像」です。 そのため、この項の寺の欄は空にしてあります。

確かめられないものを、それらしい寺で埋めることはしません。 仁王門をくぐるとき、向かって右の阿形がこの名を持つと知っておくだけで十分でしょう。

那羅延天をめぐる仏のつながり

那羅延天の位階と、似た仏との違い

那羅延天は天部の位に置かれます。力の強さをもっぱらとする護法神です。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。那羅延天は天部です。

天部のなかでは、もとインドの最高神格だった者にあたります。ヴィシュヌはインドで大自在天と並ぶ大神でした。

大自在天が降三世明王に踏まれる側に回ったのに対し、那羅延天は門を守る側に回りました。 同じ大神でも、仏教での扱いが分かれています。

金剛力士 ─ その一方にあたる

金剛力士の二体のうち、口を開けた阿形が那羅延堅固にあたるとされます。

全体と、その一方の関係です。ただしこの呼び分けを掲げる寺は多くありません。

文化財の登録名はすべて「金剛力士立像」で、那羅延の名は使われません。

大自在天 ─ インドの二大神

どちらもインドで最高神格とされた神です。ヴィシュヌとシヴァにあたります。

仏教での扱いが分かれました。 大自在天は降三世明王に踏まれる側、那羅延天は門を守る側です。

姿も違います。大自在天は白い牛に乗り、那羅延天は迦楼羅に乗ると説かれます。

迦楼羅 ─ 乗り物と乗り手

那羅延天は迦楼羅に乗ると経典に説かれます。乗り手と乗り物の関係です。

インドでヴィシュヌ神の乗り物がガルダ、つまり迦楼羅であったことがそのまま受け継がれています。

ただし日本では、迦楼羅は八部衆の一員として独立し、那羅延天を乗せる姿はほとんど造られませんでした。

那羅延天についてよくある質問

那羅延天とはどんな仏ですか。

インドの神ヴィシュヌを出自とする天部です。力の強さをもっぱらとし、「那羅延力」は人並み外れた怪力を指す言葉になりました。

仁王と関係がありますか。

あります。寺の門に立つ金剛力士の二体を那羅延堅固と密迹金剛と呼ぶことがあり、口を開けた阿形が那羅延堅固にあたるとされます。

那羅延力とは何ですか。

人並み外れた怪力を指す言葉です。この天部の名から生まれました。経典では象の何倍もの力を持つと説かれます。

なぜ像が少ないのですか。

この天部を本尊とする修法が無かったこと、力の強さという性格が金剛力士に吸収されたことが理由と考えられます。

那羅延天の像はどこで見られますか。

国が指定した彫刻は確かめられませんでした。寺の門の仁王のうち、口を開けた阿形がこの名を持つとされます。

那羅延天と併せて覚えたい言葉・用語

那羅延力(ならえんりき)

人並み外れた怪力。この天部の名から生まれた言葉。

那羅延堅固(ならえんけんご)

仁王の阿形を指す呼び方。

密迹金剛(みっしゃくこんごう)

仁王の吽形を指す呼び方。

ヴィシュヌ(う゛ぃしゅぬ)

インドの大神。那羅延天の出自。