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天部

竜(りゅう)|八部衆の竜とはどんな仏か|見分け方・ご利益・会える寺

竜衆  / リュウ

守護 インド由来

水をつかさどり、仏の教えを守るとされる蛇形の尊格。八部衆の一員。

竜とはどんな仏か

竜をひとことで言えば水を治める守り手です。もとはインドで蛇を神格化した尊格で、雨と川と海をつかさどるとされました。

仏教に取り込まれてからは、教えを守る側にまわりました。八部衆の二番目に数えられます。天・竜・夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅・緊那羅・摩睺羅伽の八つのうち、水そのものと結びつくのは竜だけです。

日本では、単独よりも竜王という呼び方で表されることが多くなっています。難陀・跋難陀・善女竜王などが知られます。

仏像としての竜は、人の形と蛇の形の二通りで現れます。 人の姿に彫って頭に小さな蛇をのせる形と、剣に巻きつく蛇そのものの形です。この二つを知っておくと、堂の中で竜を見落とさなくなります。

竜の読み方と梵名

読みは「りゅう」です。「たつ」と読むのは日本の言葉としての読み方で、仏の名としては使いません。

梵名ナーガを意味で訳したものです。ナーガはインドの蛇で、頭に複数の首を持つ大蛇として描かれます。

文化財の名称では龍の字が使われることが多く、いっぽう本文では竜と書き分けられます。同じものを指しているので、字の違いで別の尊格と思わないでください。

竜(りゅう)

新しい字体で書いた形。

龍(りゅう)

古い字体。文化財の名称に多い。

竜衆(りゅうしゅう)

八部衆の一員としての呼び方。

竜王(りゅうおう)

尊格として敬って呼ぶ形。

ナーガ(Naga)

意味は「蛇」。インドで蛇を指す語。読みは「なーが」。

竜の見分け方(印相・持ち物・姿)

頭の上に小さな蛇か竜がのっていれば竜王です。体は人の形をしています。

頭 ─ 蛇をのせる

人の姿に彫られた竜王は、頭の上に小さな蛇、または竜の頭をのせます。

これが竜であることのいちばん確かな目印です。冠のように見えますが、よく見ると鱗と目があります。

蛇の数は一つのこともあれば、三つ、五つ、九つと増えることもあります。

身なり ─ 甲か唐風の衣

甲を着けた武人の姿と、唐風の衣をまとった官人の姿の二通りがあります。

武人の姿では剣や鉾を持ち、官人の姿では笏や宝珠を持ちます。

如来や菩薩のような装身具は着けません。 天部の決まりに従います。

蛇そのものの形

人の形をとらず、蛇そのものとして彫られる場合もあります。

倶利伽羅の剣に巻きついて剣を呑もうとする竜、堂の天井に描かれる竜、梵鐘の吊り手にあたる竜頭などがそれです。

人の形で探していると、こちらを見落とします。 堂に入ったら天井と鐘も見上げてください。

並び ─ 八部衆と二十八部衆

八部衆として並ぶときは、二番目に置かれます。

奈良の興福寺には天平時代の乾漆八部衆立像(国宝、八躯)が伝わり、そのうちの一躯が竜にあたるとされます。ただし文化庁の国指定文化財等データベースの名称は「八部衆立像」でまとめられており、個々の名は記されていません。

京都の妙法院の二十八部衆にも、竜にあたる像が含まれます。

竜のご利益

雨を呼ぶ

水をつかさどるとされることによる。

水の災いを退ける

川と海を治めるとされることによる。

教えを守る

八部衆として仏法を守る役につくことによる。

竜に会える寺

「竜」という名だけで国の指定を受けた像はありません。会えるのは竜王という形をとった像です。

大阪の孝恩寺、奈良の法隆寺に重要文化財の竜王像が伝わります。ここに挙げたのは、所有者が寺であることを文化庁の国指定文化財等データベースで確かめられたものだけです。

八部衆や二十八部衆の一員としては、奈良の興福寺、京都の妙法院で会えます。ただし指定名称はまとめた形なので、どの像が竜かは堂の説明で確かめてください。

孝恩寺(こうおんじ)

重要文化財

地図で開く

孝恩寺の住所:大阪府(文化庁の国指定文化財等データベースで所有者を確認。詳しい住所は公式の情報を確かめられませんでした)

像:木造難陀竜王立像 一躯/木造跋難陀竜王立像 一躯/いずれも重要文化財

この像に結び付く願い:雨を呼ぶ

兄弟の竜王が二躯そろって伝わる、数少ない例です。

文化庁の国指定文化財等データベースでは、どちらも所有者が孝恩寺と記されています。

二躯を並べて見ると、頭にのせた蛇の形の違いが分かります。

難陀と跋難陀は経典で兄弟とされる。

法隆寺(ほうりゅうじ)

重要文化財

地図で開く

法隆寺の住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1

像:木造善女竜王立像 一躯/重要文化財

この像に結び付く願い:水の災いを退ける

善女竜王は、雨を呼ぶ相手として広く信仰されてきた竜王です。

文化庁の国指定文化財等データベースでは、所有者が法隆寺と記されています。

竜王の像で国の指定を受けたものは多くありません。

所在地は寺の公式サイトで確かめた。

竜をめぐる仏のつながり

化身・同じ経典 三尊・脇侍・眷属 対になる仏 混同・見分け

竜の位階と、似た仏との違い

竜は天部の位に置かれます。八部衆の二番目です。

仏には如来・菩薩・明王・天部という四つの位階があります。竜は天部です。

天部のなかでは、もとインドの神格で、仏に従う側にまわった組に入ります。夜叉・乾闥婆・阿修羅・迦楼羅などと同じ立場です。

八部衆のうち、日本で単独の像が多く残っているのは竜と阿修羅と迦楼羅です。

八部衆 ─ 全体と一員

竜は八部衆の二番目です。

見分けは並びです。八部衆は八躯そろって並び、竜はそのうちの一躯です。単独で祀られる場合は竜王という名になります。

難陀竜王 ─ 種類と個体

難陀竜王は、竜のなかの一人に名を与えたものです。

竜は種類の名、難陀竜王は個体の名にあたります。像として彫られるときは、どちらも頭に蛇をのせた人の姿になります。

摩睺羅伽 ─ どちらも蛇に由来する

どちらももとは蛇の尊格です。八部衆のなかで二つ並んでいます。

見分けは頭です。摩睺羅伽は蛇の顔そのものを持つか、頭に蛇を巻きます。竜は頭の上に小さな蛇をのせます。 摩睺羅伽は腹ばいの蛇、竜は水の蛇という違いで語られます。

竜についてよくある質問

竜とはどんな尊格ですか。

もとはインドで蛇を神格化した尊格で、水と雨をつかさどるとされました。仏教に取り込まれ、八部衆の二番目として教えを守る役につきます。

竜の読み方は。

「りゅう」です。梵名ナーガを意味で訳した名で、ナーガはインドの蛇を指します。文化財の名称では「龍」の字が使われます。

竜はどう見分けますか。

人の姿に彫られた場合は、頭の上に小さな蛇か竜の頭がのっています。蛇そのものの形では、剣に巻きついたり天井に描かれたりします。

竜王と竜は違いますか。

竜は種類の名、竜王はそのなかの個体に与えられた名です。難陀竜王・跋難陀竜王・善女竜王などがあります。

竜の像はどこで見られますか。

大阪の孝恩寺に難陀・跋難陀竜王の重要文化財の二躯、奈良の法隆寺に善女竜王の重要文化財の立像が伝わります。

竜と併せて覚えたい言葉・用語

八部衆(はちぶしゅう)

仏法を守る八種の尊格。竜は二番目。

竜頭(りゅうず)

梵鐘の吊り手にあたる竜の彫り物。

倶利伽羅(くりから)

剣に巻きつく竜。不動明王を表す形のひとつ。