仏像のご利益一覧|どんなときに、どの仏に手を合わせるか
ご利益で仏を選ぶということ 4体
病を癒す仏|薬師如来と、薬を受け持つ菩薩 6体
亡くなったあとを受け持つ仏|阿弥陀如来の来迎 3体
阿弥陀如来は西方の極楽浄土にいて、念仏を称える者を迎えに来る仏です。
南無阿弥陀仏と称える者を、ひとり残らず救うと誓った。
日本でもっとも数多く造られた如来で、救われる条件が「称えること」だけという点が、広く行きわたった理由として挙げられます。
迎えに来る場面を来迎(らいごう)といいます。両脇に観音菩薩と勢至菩薩を従えた三体の組み合わせが阿弥陀三尊です。
二体は姿がよく似ていて見分けにくいのですが、決め手があります。
死者を乗せる蓮台を捧げているのが観音、手を合わせているのが勢至。
涅槃仏は、釈迦がこの世を去るときの姿を横たわる形で表した像です。寝釈迦ともいいます。死そのものを像にした、めずらしい形です。
地獄まで降りる仏|地蔵菩薩と、仏のいない時代 2体
地蔵菩薩が道ばたにこれだけ立っているのには、理由があります。
釈迦が世を去ってから弥勒が現れるまで、この世に仏がいない。
その空白のあいだを受け持つのが地蔵菩薩とされます。だから僧の姿をして、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六道すべてに身を分けて出向きます。
六体そろって立つ六地蔵は、この六道を一体ずつ受け持つ形です。
地獄まで降りて救う。
如来ではなく菩薩のままでいるのは、全員を救い終えるまで仏にならないと誓ったためと説かれます。
弥勒菩薩は、
五十六億七千万年後に現れて人を救うと約束された、次の仏。
頬に指を当てて考えこむ姿でよく知られます。その長さは、地蔵菩薩の受け持ちの長さでもあります。
声を聞きつける仏|観音がこれだけ多い理由 11体
観音菩薩は、救いを求める声を聞きつけ、相手に応じて姿を変える菩薩です。
姿が決まっていないことが、この仏の性質そのもの。
観音の種類がこれだけ多いのは、変化した姿を一体ずつ像にしてきたからです。
聖観音が、顔が一つ・腕が二本のもとの姿にあたります。そこから、
十一面観音 ─ 頭上に十一の顔。あらゆる方角を見わたす
千手観音 ─ 千の手と千の眼で、漏らさず救う
不空羂索観音 ─ 投げ縄で、誰ひとり取り逃がさない
如意輪観音 ─ 願いをかなえる珠を持ち、考えこむ
准胝観音 ─ 仏を生む母。三つの目と十八本の腕
足りないものを増やすという同じ発想が、顔にも腕にも道具にも当てられています。
馬頭観音だけは怒りの顔をし、白衣観音は水墨画の題材として広まりました。魚籃観音は中国の説話から生まれた姿、多羅菩薩は観音の涙から生まれたとされます。
智慧と学びをさずける仏 6体
悟りそのものを表す仏|如来がこれだけいる理由 11体
釈迦如来は、実在した人物を仏の姿にうつしたもので、仏像のはじまりにあたります。
ところが如来は一体ではありません。
毘盧遮那仏 ─ 光をあまねく照らす。奈良の大仏がこの仏
大日如来 ─ 宇宙そのもの。密教でいちばん上に置かれる
阿閦如来 ─ 怒らないと誓って東方に浄土をひらいた
宝生如来 ─ 宝を生み出す。金剛界の南方
不空成就如来 ─ むなしく終わらせない。金剛界の北方
大日如来を中心に五つの智慧を五体に分けたのが五智如来で、五体で一組の考え方です。
多宝如来は、法華経の説法を証明するため塔とともに地から現れた過去の仏。金剛薩埵は、大日如来から密教の教えを直に受け取った最初の弟子です。
孔雀明王は、明王でただひとつ怒らない顔をします。 孔雀に乗り、毒を食う鳥にちなんで害を取り除くことを受け持ちます。
八大菩薩は、八体一組で如来を囲む菩薩たちです。
釈迦如来
SHAKANYORAI 救済 如来 よく知られた仏大日如来
DAINICHINYORAI 救済 如来毘盧遮那仏
BIRUSHANABUTSU 救済 如来阿閦如来
ASHUKUNYORAI 守護 救済 如来宝生如来
HOSHONYORAI 救済 福徳 如来不空成就如来
FUKUJOJUNYORAI 守護 救済 如来五智如来
GOCHINYORAI 救済 如来多宝如来
TAHONYORAI 守護 救済 如来金剛薩埵
KONGOSATTA 守護 救済 菩薩孔雀明王
KUJAKUMYOO 守護 救済 明王八大菩薩
HACHIDAIBOSATSU 救済 菩薩法要ごとに受け持つ十三の仏 13体
「どの仏に手を合わせるか」に、日付で答える枠組みがあります。十三仏です。
初七日から三十三回忌まで、法要の日ごとに受け持つ仏が決まっている。
もとは中国生まれの十王が初七日から三回忌までを裁く形でした。日本ではこれに三体を加えて十三とし、七回忌・十三回忌・三十三回忌まで受け持たせています。
十王が中国生まれ、十三仏が日本生まれ。
割り当ては次のように伝わります。
初七日=不動明王/二七日=釈迦如来/三七日=文殊菩薩/四七日=普賢菩薩
五七日=地蔵菩薩/六七日=弥勒菩薩/七七日(四十九日)=薬師如来
百か日=観音菩薩/一周忌=勢至菩薩/三回忌=阿弥陀如来
七回忌=阿閦如来/十三回忌=大日如来/三十三回忌=虚空蔵菩薩
経典に定められたものではありません。 日本で組み立てられた枠組みで、宗派によって扱いが違います。十三体はすべてこの図鑑に収めています。
不動明王
FUDOMYOO 守護 忿怒 明王 よく知られた仏釈迦如来
SHAKANYORAI 救済 如来文殊菩薩
MONJUBOSATSU 救済 菩薩普賢菩薩
FUGENBOSATSU 救済 菩薩 よく知られた仏地蔵菩薩
JIZOBOSATSU 救済 菩薩 よく知られた仏弥勒菩薩
MIROKUBOSATSU 救済 菩薩 よく知られた仏薬師如来
YAKUSHINYORAI 救済 如来 よく知られた仏観音菩薩
KANNONBOSATSU 救済 菩薩勢至菩薩
SEISHIBOSATSU 救済 菩薩 よく知られた仏阿弥陀如来
AMIDANYORAI 救済 如来阿閦如来
ASHUKUNYORAI 守護 救済 如来 よく知られた仏大日如来
DAINICHINYORAI 救済 如来虚空蔵菩薩
KOKUZOBOSATSU 救済 福徳 菩薩救いの仏を受け持ちごとに並べる
どんなときに手を合わせるかで並べます。
| こんなとき | 仏 | 見分けの決め手 | 受け持つもの |
|---|---|---|---|
| 病のとき | 薬師如来 | 手に薬壺 | 現世の病と苦しみ |
| 人を送るとき | 阿弥陀如来 | 輪をつくる手の形 | 極楽へ迎えに来る |
| 法要のとき | 十三仏 | 日付ごとに替わる | 初七日から三十三回忌 |
| 困りごと | 観音菩薩 | 相手に応じて姿を変える | 声を聞きつける |
| 亡き人の行く先 | 地蔵菩薩 | 僧の姿。錫杖と宝珠 | 地獄まで降りる |
| 学びのとき | 文殊菩薩 | 獅子に乗り、剣と経巻 | 知ること |
| 行いを積むとき | 普賢菩薩 | 白い象に乗る | 行うこと |
| 災いを除くとき | 孔雀明王 | 明王で唯一、怒らない | 毒と害を取り除く |
並べると、ご利益は仏の強さではなく受け持ちの違いだと分かります。
どの仏が一番えらいか、ではない。いま自分がどの場面にいるか。
病のときに阿弥陀如来へ願っても筋が違い、人を送るときに薬師如来では場面が合いません。持ち物や手の形が受け持ちを示しているのは、そのためです。
もうひとつ、救いの仏には「取りこぼさない」という言い方が繰り返し現れます。
千の手と千の眼で漏らさず救う。投げ縄で誰ひとり取り逃がさない。
念仏を称える者をひとり残らず救う。全員を救い終えるまで仏にならない。
千手観音、不空羂索観音、阿弥陀如来、地蔵菩薩。表現は違っても、言っていることは同じです。
救いの仏がこれだけ増えたのは、力を足したかったからではなく、受け持たれていない場面を埋めていった結果だと読めます。
仏像のご利益についてよくある質問
病気平癒はどの仏に手を合わせればよいですか。
薬師如来です。東方の浄土にいて、病と苦しみを取り除くと誓った仏で、手に薬壺を持つ姿が見分けの決め手です。両脇の日光菩薩と月光菩薩、薬を施した薬王菩薩と薬上菩薩、柳の枝を持つ楊柳観音も病にかかわります。
亡くなった人を送るときはどの仏ですか。
阿弥陀如来です。西方の極楽浄土にいて、念仏を称える者を迎えに来ると誓った仏です。迎えに来る場面を来迎といい、観音菩薩と勢至菩薩を従えた三体を阿弥陀三尊といいます。
十三仏とは何ですか。
初七日から三十三回忌まで、法要の日ごとに受け持つ仏を定めた枠組みです。中国生まれの十王が初七日から三回忌までを裁く形に、日本で三体を加えて十三としました。経典に定められたものではなく、宗派によって扱いが違います。
なぜ観音菩薩には種類がたくさんあるのですか。
救いを求める声を聞きつけ、相手に応じて姿を変える菩薩だからです。変化した姿を一体ずつ像にしてきた結果、聖観音を元の姿として、十一面観音、千手観音、如意輪観音、不空羂索観音、准胝観音などが生まれました。
お地蔵さんが道ばたに多いのはなぜですか。
釈迦が世を去ってから弥勒菩薩が現れるまで、この世に仏がいない期間を受け持つとされるためです。僧の姿で地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天の六道すべてに身を分けて出向き、六体そろう六地蔵はその六道を一体ずつ受け持つ形です。
ご利益の強い仏はどれですか。
強さで比べるものではないと説かれます。ご利益はどの場面を受け持っているかの違いで、病なら薬師如来、人を送るなら阿弥陀如来というように、いま自分がどの場面にいるかで手を合わせる相手が決まります。
救済の仏の一覧(収録しているすべての仏像) 101体
本文で取り上げなかったものも含めて、この役割に属する仏像をすべて並べています。名前を押すと個別ページへ移ります。