守護の仏一覧|干支ごとの守り本尊と、寺と国を守る仏
守るという役目は、位階を問わずに与えられます。
如来にも、菩薩にも、明王にも、天部にもいます。
守るという一点でつながっているだけで、姿も出身もばらばら。
そして多くの人が最初に知りたがるのは、自分の守り本尊がどの仏かでしょう。生まれ年の干支で決まる仏が、まずここにあります。
このページでは、収録している守護の仏を横に並べて見わたします。
干支で決まる守り本尊 7体
生まれ年の干支によって、守ってくれる仏が決まっているという考え方があります。
八体仏(はったいぶつ)と呼ばれ、次のように当てられます。
子=千手観音/丑・寅=虚空蔵菩薩/卯=文殊菩薩/辰・巳=普賢菩薩
午=勢至菩薩/未・申=大日如来/酉・戌・亥=不動明王
十二の干支に対して仏は八体なので、いくつかの干支が同じ仏を分け合います。
これは経典に定められたものではありません。 日本で広まった習わしで、密教の考え方をもとに組み立てられたと説明されます。寺によって当て方が違うこともあります。
守り本尊は、生まれ年で決まる。生年月日そのものではない。
「守護 仏 生年月日」で調べる人が多いのですが、必要なのは生まれ年の干支だけです。
寺の門を守る仏|金剛力士 3体
寺に入るとき、最初に会う守護の仏がこれです。
金剛力士は門で睨みをきかせる二体一対の守り神で、仁王とも呼ばれます。
口を開けた阿形と、口を閉じた吽形。
「阿吽の呼吸」という言葉は、この一対から来ています。阿は口を開いて出す最初の音、吽は口を閉じて出す最後の音とされます。
執金剛神は、金剛杵を執って釈迦を守った仏で、金剛力士のもとの姿にあたります。一体だったものが、門を守るときに二体へ分かれました。
那羅延天は「並ぶもののない力を持つ」という意味の名で、仁王の一方にその名が残ります。
仁王像は、堂の中ではなく門にいます。 守るとは、外との境目に立つことです。この一群の像が、寺のいちばん外側に置かれている理由がそこにあります。
方角を分けて守る仏|四天王と十二天 8体
インドから来て、守る側に回った仏 12体
天部の多くは、もとインドで信仰されていた神です。
仏教に取り込まれるとき、上に立つ側から守る側へ回されました。
帝釈天は須弥山の頂に住む天の主、梵天は世界を創ったとされる神で、釈迦に説法を勧めました。二体とも、もとの信仰では最上位にいた存在です。
大自在天に至っては、
インドで最高神とされた神が、仏教では踏まれる側に回る。
阿修羅は三つの顔と六本の腕を持ち、戦いをやめた鬼神です。夜叉と羅刹天も、人を食う鬼神から仏法を守る側へ移りました。
敵だったものを、味方として取り込む。
この形は仏教の守護に繰り返し現れます。 恐ろしい力を否定せず、向きだけを変えて使うという考え方です。
迦楼羅は竜を食らう金色の大鳥、乾闥婆は香りだけを食べる天の楽人、緊那羅は歌をつかさどり額に一本の角を持ちます。韋駄天は足の速さで知られ、寺の食と伽藍を守ります。
死後を受け持つ仏と、星を守る仏 10体
守護の仏は、暮らしのすみずみに割り当てられています。
閻魔は死者の生前の行いを裁く地獄の王、十王は死後の裁きを順に受け持つ十人の王です。
裁く仏も、守護に数える。
正しく裁くことが、秩序を守ることだからです。
妙見菩薩は北極星と北斗七星を仏として拝んだもので、摩利支天は陽炎を神格化した天部です。
姿が見えないため、武士に好まれた。
勝軍地蔵は甲冑を着けて馬にまたがる地蔵で、戦の守りとして拝まれました。愛宕権現は火伏せの仏で、その本体は鎧を着た地蔵と説かれます。
牛頭天王は疫病を防ぐ仏で祇園祭の主、八大竜王は水をつかさどり雨乞いの祈りを受けます。鬼子母神は他人の子を食べた鬼女が、子を守る側に転じた仏です。三宝荒神は台所の火を守ります。
守護の仏を役目ごとに並べる
同じ「守る」でも、守る相手が違います。
| 守る相手 | 代表 | 置かれる場所 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 自分(生まれ年) | 千手観音・不動明王ほか八体仏 | 各地の寺 | 干支で決まる。経典の定めではない |
| 寺の入口 | 金剛力士(仁王) | 門 | 二体一対。阿形と吽形 |
| 四方 | 四天王 | 本尊のまわり | 北の多聞天は単独だと毘沙門天 |
| 本尊 | 十二神将・二十八部衆 | 本尊の左右 | 数が多いほど割り振りが細かい |
| 仏法そのもの | 八部衆・天部 | 堂内 | もとインドの神。敵から味方へ |
| 死後の秩序 | 閻魔・十王 | 閻魔堂 | 裁くことで守る |
| 暮らし | 愛宕権現・三宝荒神 | 台所・かまど | 火伏せ。家の中にいる |
並べると、守護の仏は「境目」に置かれるとわかります。
門、四方、本尊のまわり、この世とあの世の境。
外から何かが入ってくる場所に、必ず誰かが立っています。仁王が堂の中ではなく門にいるのは、そのためです。
もうひとつ、恐ろしい姿の仏が多いという共通点があります。阿修羅も夜叉も羅刹天も、もとは人を害する側にいました。
敵を消すのではなく、向きを変えて使う。
この考え方が、仏教の守護をつらぬいています。強い力を否定しないことが、結果として守護の仏の顔ぶれを豊かにしました。
最後に、干支の守り本尊について一つ。八体仏は日本で広まった習わしであり、寺によって当て方が違うことがあります。自分の守り本尊を確かめたいときは、参る寺の案内で確かめるのが確実です。
守護の仏についてよくある質問
自分の守り本尊はどうやって決まるのですか。
生まれ年の干支で決まります。子が千手観音、丑と寅が虚空蔵菩薩、卯が文殊菩薩、辰と巳が普賢菩薩、午が勢至菩薩、未と申が大日如来、酉と戌と亥が不動明王です。生年月日そのものは必要ありません。
守り本尊は経典に定められているのですか。
いません。八体仏と呼ばれるこの組み合わせは日本で広まった習わしで、密教の考え方をもとに組み立てられたと説明されます。寺によって当て方が違うこともあります。
毘沙門天と多聞天は同じ仏ですか。
同じ仏です。四天王の一員として北を守るときは多聞天、単独で祀られるときは毘沙門天と呼ばれます。置かれ方による呼び分けです。
仁王像はなぜ門にあるのですか。
守るとは外との境目に立つことだからです。金剛力士は二体一対で寺の門に置かれ、口を開けた阿形と口を閉じた吽形が対になります。「阿吽の呼吸」はこの一対から来ています。
なぜインドの神が仏を守っているのですか。
仏教に取り込まれる際、上に立つ側から守る側へ回されたためです。帝釈天や梵天はもとの信仰で最上位にいた存在で、大自在天は仏教では踏まれる側に回ります。阿修羅や夜叉のように、人を害する鬼神から守る側へ移ったものもあります。
閻魔も守護の仏なのですか。
この図鑑では守護に数えています。死者の生前の行いを正しく裁くことが、秩序を守ることにあたるためです。十王は死後の裁きを順に受け持つ十人の王です。
守護の仏の一覧(収録しているすべての仏像) 112体
本文で取り上げなかったものも含めて、この役割に属する仏像をすべて並べています。名前を押すと個別ページへ移ります。